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映画って、いろんな人の手が入るから面白いと思うんです『君が世界のはじまり』原作/監督:ふくだももこ×脚本:向井康介【Director’s Interview Vol.71】

映画って、いろんな人の手が入るから面白いと思うんです『君が世界のはじまり』原作/監督:ふくだももこ×脚本:向井康介【Director’s Interview Vol.71】

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新たに追加されたエピソード



Q:今回の原作は、「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」の二つが元になってますが、その二つを一緒にした理由はなんだったのでしょうか。


ふくだ:史郎さんが言ったからです(笑)。


向井:最初はそうですね。先ほども言いましたが、「えん」を読んだ後、佐々木さんが「実はもう一冊あるんだ」と。それが「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」で、これも読むと、「向井、どう思う?これ二つで一つにならないか?」って佐々木さんが言うんです。多分、佐々木さんとしては、単純に「えん」1本だけじゃ尺が足りないと思ったんでしょうね。


そこから、「じゃあこの映画のタイトルはどうなるんですかね」って話をしたんです。これは「えん」でもないだろうし、「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」でもない。何でしょうねぇって、佐々木さんと話しつつ、その場ではあんまり定まらなかったんです。でも、ふくださんは、同じ世界の違う場所で生きる人たちを描いているわけで、一緒にすることはできるかなと思っていました。


また、二つで一つってことは、登場人物もその分多くなるし、必然的に群像劇になりますよね。そこは佐々木さんと共通のイメージとして持っておきつつ、一度持ち帰らせてもらいました。


その後プロットを書いて、佐々木さんとふくださんに見てもらうわけですが、そこでふくださんに受け入れられなかったら、この仕事はちょっと難しいかなと思っていました。でも実際には、ふくださんが割と喜んでくれたので、そこで初めて脚本化できるかなと思いましたね。




Q:ふくださんは、そのプロットを読んでどうでしたか?


ふくだ:めっちゃ面白いと思いました。そもそも、どうやって二つを一つにするのか、全然想像出来ていませんでした。


最初に新たなエピソードとして、とある事件が追加されていたのですが、それを読んだ時にすごく引き込まれて面白いと思いましたね。その発想はなかったですし、違和感が全くなく、単純に一つの作品として面白くなっていたので、これで全然いいです!って感じでした。


向井:最初はドキドキしながら、ふくださんの意見を聞きましたよ。


ふくだ:めっちゃ緊張してましたよね(笑)。


向井:ふくださんが、「途中まで読んでて、全然違うと思ってたんですけど、最後まで読んだら、なるほどと思いました」って言ってくれて、ちょっとホッとしましたね。


ふくだ:めちゃドキドキしますよね。原作と監督が同じ人だと。


Q:エピソードを新たに追加するというのは、結構大胆ですよね。しかも映画の中では、それなりに重要な要素になっています。


向井:そうですね。群像劇にするときの法則みたいなもので、全然違うところにいた人たちが同じきっかけで集まれるようにと考えたのが、その追加エピソードでした。登場人物たちの家族の話にも触れられるし、ミスリードを誘って映画的にも面白くなったかなと。


また、それがきっかけで登場人物たちがお互い話ができる場ができたし、その場所を真夜中のショッピングモールに設定することで、相米慎二さんの『台風クラブ』(85)が出来るんじゃないかなって思ったんです。


Q:確かに!『台風クラブ』でしたね!



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