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映画とは政治的・社会的参加であるべき。『マーティン・エデン』ピエトロ・マルチェッロ監督【Director’s Interview Vol.77】

映画とは政治的・社会的参加であるべき。『マーティン・エデン』ピエトロ・マルチェッロ監督【Director’s Interview Vol.77】

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ルカ・マリネッリ一択だったマーティン・エデン役



Q:主演のルカ・マリネッリが素晴らしく、マーティン・エデンの葛藤や生きざまが、彼の肉体全体からほとばしっていました。


ピエトロ:マーティン・エデンを演じるのは誰かと考えた時に、すぐにルカ・マリネッリが思い浮かびました。プロレタリアートから始まって、非常に鋭敏な知性を持った作家に成長していく過程を演じられるのは、ルカしかいないと思いましたね。


私が考えていることを、ルカはすぐに理解してくれましたし、非常に密接な協力関係の中で良い仕事が出来たと思います。この映画を通じて、お互いに成長することが出来たのではないでしょうか。ルカ・マリネッリは素晴らしい才能を持った役者だと思いますよ。




Q:恋人であるエレナの家族や、義兄のベルナルドなどと、人間関係の軋轢がありつつも、一方で姉のジュリアや下宿先のマリアなど、マーティン・エデンを見守る暖かい眼差しも印象的です。特にマリアは、彼女から人としての希望のようなものを見いだすことができ、彼女の存在には心落ちつくものがありました。

 

ピエトロ:マリアは私も好きなキャラクターですね。マーティン・エデンは最終的に一人になってしまうのですが、その中でもマリアだけが彼を理解している。マリアは未亡人でして、女手一つで二人の子供を育てています。つまり母親が中心となって家庭を仕切っているわけで、非常に強くて温かい人間なんです。


一方で姉のジュリアは、暴力的な夫の犠牲となっていることもあり、マリアほどマーティン・エデンの心の拠り所にはなっていない。夫のベルナルドが、物理的な貧困と心の貧困のせいで、マーティンの(作家になるという)希望を理解することが出来ないこともあり、残念ながらジュリアも、それに引っ張られてしまっているところがありますね。



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