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『おもかげ』ロドリゴ・ソロゴイェン監督 映画館に行って映画文化を皆で支えてほしい【Director's Interview Vol.88】

『おもかげ』ロドリゴ・ソロゴイェン監督 映画館に行って映画文化を皆で支えてほしい【Director's Interview Vol.88】

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話さなくても意思疎通できる現場とは



Q:脚本から撮影へと進めるにあたり、一番難しかったことはなんですか。


ロドリゴ:エレナとジャン二人の関係、特に彼から彼女への感情だね。もともとの脚本構成ではエレナとジャン二人の視点を同時に描いていたんだ。マルタの視点、そしてジャンの視点と、それぞれの視点から撮っていた。でも実際のところ、撮影した彼のパートはほとんど使っていないんだよ。


(エレナ役の)マルタの撮影のあとに、(ジャン役)ジュールを撮影して、家に入ってからの親子の関係とか、同時進行で両方の視点を交互にいれて構成していたのだけど、次第に少しずつジュールの話を消して、エレナの話だけにしようと思った。やはり大事なのはエレナ、彼女の心に入っていく、彼女の視点から全部眺めていこうと決めたんだ。


Q:演出するにあたり、一番苦労したシーンは。


ロドリゴ:今回の演出、撮影自体はとても面白かったよ。でも難しいシーンも沢山あった、特にワンカットのシーンだね。テクニカル的にもハードルが高かったし、車の中で三人の少年たちをワンカットで撮っているところなんて、とても難しかった。エレナがジャンの家に入っていくと、カメラ自身も壁に沿っていくなど、テクニカル的に非常に難しいことがあったけれど、どれも興味深くて楽しかったね。




Q:撮影監督のアレックス・パウロについて教えて下さい。


ロドリゴ:アレックスは私のチームに欠かせない存在だ。私は映画を作るとき、常に同じ人たちと働くことが好きなんだ。2013年の「Stockholm」という映画を撮影した時から、できるだけ同じ人と働きたいと思っていて、アレックスはそういうチームの柱的な存在だ。彼は親友のような存在で、完璧主義者であり、私たちが取り扱う物語に対して非常にまじめに向き合い、情熱的に働く人だよ。悪く言えばワーカホリック的なところもあって、私とよく似ていると思う。だから二人で相乗効果のような関係が生まれるんだ。


ただし映画によってはアプローチの仕方が違う。この『おもかげ』はできるだけ感情的な映画にしたかったし、光へと向かっていく旅のような側面を本当に大切にしていた。彼との関係は(共同脚本の)イサベルとの関係にもよく似ている。よく対話して、どんな些細なことでも必ずお互いに質問しあって、とにかくこれでもかというぐらい話し合うんだ。


ただしこれはあくまでも撮影前の話であって、一旦撮影に入るとほとんど話さないんだよ。何か具体的な問題がでてきたら話すけれど、撮影が始まったらお互いに相手が何を考えているのか大体わかっているので、話す必要がない。そういう意味で撮影中二人が話さないことは、最高のシグナルだね。



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