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『異端の鳥』正視に耐えられないシーンを乗り越えた先に待つ、崇高な感動

『異端の鳥』正視に耐えられないシーンを乗り越えた先に待つ、崇高な感動


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途中退場が常識の海外映画祭で異例の反応



 2019年のトロント国際映画祭では、満席に埋まったプレス向けの試写で、途中退場者が続出していた。トロントに先立つヴェネツィア国際映画祭でも同じように退場者があったものの、上映が終わった瞬間に圧倒的な喝采が起こったという。「思わず席を立ちたくなる」と「すべてを観たら超級の感動」というアンビバレントな感覚で、ここ数年の中で最大の問題作といわれているのが、『異端の鳥』だ。


 海外の映画祭、とくにプレス用の上映で、このように途中退席が出る光景は珍しくない。とくにトロントのように上映本数が多い映画祭では、「もうこれ以上観ても仕方ない」と、別の上映に移動して、より良い作品を見つける目的があるからだ。しかし『異端の鳥』の場合は、席を立つタイミングがわかりやすかった。2時間49分という長尺のなか、何度も「目を背けたくなる描写」が登場するので、そのたびに耐えられなくなった人が立ち上がる……という流れだ。


 『異端の鳥』での目を背けたくなる描写は、じつに多様である。ゆえに、あるシーンは何とか観続けられても、別のシーンでは許容範囲を超えてしまう。



 作品のメイン写真として使われているのが、土の中に首まで埋められた少年と、彼の目の前にいるカラスという構図。この後に、どんな恐ろしいことが起こるのか、想像せずにはいられない。そして本編を観ると、その想像を超えたショッキングな事態が描かれる。まさしく「逃げられない恐怖」だ。


 その他にも「痛みがリアルに伝わってくる」、「モラル的にここまで描いていいのか?」、「人間の恐ろしい本能」、「生々しい戦争描写」など、ありとあらゆる種類の目を覆うような描写が、しかも生々しい演出で積み重ねられていく。



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