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『異端の鳥』正視に耐えられないシーンを乗り越えた先に待つ、崇高な感動

『異端の鳥』正視に耐えられないシーンを乗り越えた先に待つ、崇高な感動

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原作者は胡散くさい天才だった?



 そしてこの原作者が、またクセ者だ。ポーランド人のイェジー・コシンスキは第二次世界大戦中にナチスの迫害を受けており、その経験も「ペインテッド・バード」の下敷きになっている。1957年に西側へ亡命したコジンスキは、ニューヨークへ渡り、英語で執筆した「ペインテッド・バード」が世界的ベストセラーとなる。


 その他にコシンスキの有名な作品といえば、映画『チャンス』(79)の原作となった「庭師 ただそこにいるだけの人」がある。『チャンス』は、大統領に祭り上げられる庭師を描いた不思議な味わいのコメディで、主演のピーター・セラーズがアカデミー賞主演男優賞にノミネート。主人公を「祭り上げる」経済界の大物を演じたメルヴィン・ダグラスが同助演男優賞を受賞した。『デッドプール』(16)のライアン・レイノルズに「人生でいちばん好きな映画は?」と聞いたら、『チャンス』と答えたくらい、今でもファンの多い名作だ。




 さらにコシンスキは映画界との関係も深く、ウォーレン・ベイティ監督の『レッズ』(81)には俳優としてボルシェビキの指導者という重要な役で出演。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)のモチーフにもなったシャロン・テート殺害事件の夜、現場のロマン・ポランスキー宅に招かれていたが、行かなかったというエピソードもある。ハリウッドセレブの一面ももっていたのだ。


 一方で経歴詐称や、ゴーストライターや盗作疑惑、さらにCIAとの関わりも取り沙汰され、胡散くさい人物としても知られたコシンスキ(ポランスキー宅に誘われた話も真偽は不明)。最期も衝撃的で、1991年、57歳の時に自宅の浴槽でビニール袋をかぶって自殺をとげた。


 このように原作者も強烈なインパクトを残した『異端の鳥』。その描写も含め、あらゆる点がセンセーショナルだが、ヴァーツラフ・マルホウル監督による映画を最後まで観届けたとき、何とも表現できない崇高な感動が待っているのも事実。明らかに他の映画では得られない「経験」になることだろう。



文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。 



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『異端の鳥』

2020年10月9日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED SILVER SCREEN ČESKÁ TELEVIZE EDUARD & MILADA KUCERA DIRECTORY FILMS ROZHLAS A TELEVÍZIA SLOVENSKA CERTICON GROUP INNOGY PUBRES RICHARD KAUCKÝ

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