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『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』精緻なバランス感覚で戦車映画にあらゆるエンタメ要素を盛り込んだ傑作

(c)Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』精緻なバランス感覚で戦車映画にあらゆるエンタメ要素を盛り込んだ傑作

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※2019年11月記事掲載時の情報です。


『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』あらすじ

第二次大戦下、ソ連の新米士官イヴシュキンは初めて出撃した前線で惜しくも戦いに敗れ、ナチス・ドイツ軍の捕虜となってしまう。戦車の指揮官であることがわかると、収容所で行われているナチスの戦車戦演習のため、ソ連の最強戦車T-34を操縦することを命令される。イヴシュキンは、同じく捕虜になった仲間たちと隊を組み、T-34の整備と演習への準備期間が与えられた。しかし、その演習では弾を装備することは許されず、ひたすらナチスの戦車軍から逃げ惑うことしかできない。命令に背いても、演習に出撃しても必ず死が待っているのだ。しかし、男は仲間のため、そして収容所で出会った愛する人のため、あまりにも無謀な脱出計画を実行に移す。たった4人の捕虜が、ナチスの軍勢に立ち向かう。果たして、決死の作戦は成功するのか―!?


Index


「戦車映画」に新たなスタンダードの誕生



 男子は基本的に戦車が好きだ。特に映画好きで戦車に欲情しない男がいるだろうか?(勿論いるし、女性にも戦車好きはいる。でも話の都合上そういうことにさせて頂く)。戦車の長く突き出した砲身が男性器の暗喩だから・・・など、もっともらしいことは言えるが、個人的には最もスクリーン映えする兵器は戦車だと思う。


 事実映画史において、戦車が主役となる映画は数多作られてきたし、近年ではブラッド・ピット主演の『フューリー』(14)も記憶に新しい。そんな中、遂に戦車映画の新たなスタンダードとなる作品『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』がロシアから登場した!・・・と、訳知り顔で書いてみたが、実は筆者は鑑賞するまで、そこまでの期待をしていなかった。


『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』予告


 ロシア映画のレベルは近年とみにあがっているし、平均点以上のものであろうとは思っていた。しかし『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』はそんな失礼な期待の遥か上を行く出来栄えだった。正直ひっくり返った。これは、万難を排して劇場に駆けつけるべき映画だ。しかも、筆者は冒頭で「戦車映画を楽しめるのは男子だけ」ととられても仕方のない差別的な書き方をしたが、本作は性別など超越して楽しめる、映画としての普遍性を見事に獲得している。そこが素晴らしい。ではそこまでの作品になり得た背景は一体なんだったのか。



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