メジャー映画にインディペンデント精神を持ち込め! 映画はこうして作られる! 〜メジャー映画と作家性〜 イベントレポート Vol.1(全3回)【CINEMORE ACADEMY Vol.19】
メジャー映画における制約
香田:これまでメジャーで撮り続けてきた本広監督はいかがですか。
本広:内田さんが言うように、分け隔てなくやってはいるのですが、やはりメジャーの方が現場で色々と機材が使えたり、いいお食事が出てきたりします(笑)。ただメジャーの良くないところは、強い事務所が入るとバーターが発生したり、どうしても色んな要望が出てくる。メジャーではそれを全部処理しなくてはいけない。
一方でインディペンデントだと、お金が無い中でやるから「これは出来ないだろうな」と発想が小さくなってしまう。そうすると地味なものになっていくので、僕のインディペンデント映画も「なんだこれ?」って言われたりしました(笑)。でもせっかく映画監督をやるのであれば、メジャーでガツンといきたいですね。たくさんの人と一緒に大きい映画をつくって、たくさんの人に観てもらうのがずっと憧れではありますね。
香田:先ほど控室で「お前も今からメジャーの苦しみを味わうんだぞ」と、内田監督におっしゃっていましたが、やはりメジャーにはメジャーの大変さがあるんですね。
本広:内田くんも藤井くんも、今から大変だと思います。僕や行定さんは意外といい時代に映画を撮れていました。今は、何をつくってもどういう観られ方をするか分からない。ソーシャルの時代は色んな人の声が聞こえてきますからね。
香田:藤井さんはいかがですか。
藤井:僕と内田さんはほぼ同時期にインディペンデントで撮り続けていました。二人ともメジャー映画を目指してインディペンデント映画を撮っているという感じでしたね。
そこから、メジャー映画と言われる作品に参加できるとなったとき、インディペンデントよりもビジネス的な側面を強く感じました。全国300館で観てもらうには、こういう脚本の作り方が良いという話が出てきたりして…。そういった話には受け入れられるものと、受け入れられないものがありましたね。インディペンデントとメジャー映画でそんなに差がないだろうと思っていたけれど、やはりそこにはいくつかの壁があるのだと思います。
パッションを持ってインディペンデント映画を撮っていれば、いつかはメジャー映画が撮れるようになる時代が来たらいいなと、いつも思っています。ただ、僕自信メジャー映画をまだあまり撮った事がないので、実際にそうなるかどうかはまだ分からないですね。