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『わたし達はおとな』加藤拓也監督 無意識に観客の存在を意識しているカメラの役割を一度再定義した【Director’s Interview Vol.214】

『わたし達はおとな』加藤拓也監督 無意識に観客の存在を意識しているカメラの役割を一度再定義した【Director’s Interview Vol.214】

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カメラの役割を再定義する



Q:画角をスタンダードとビスタで使い分けたり、カメラが覗き見る感覚になっていたりと、撮影にこだわりを感じます。カメラマンとはどのようなことを話されたのでしょうか?


加藤:カメラマンには、主人公たちの生活を覗き見ることをテーマに撮影したいと伝えました。そのために、無意識に観客の存在を意識しているカメラの役割を、一度再定義して撮影に臨みました。レンズのチョイスやカメラワーク、アングルなど、そういったことを含めてもう一度定義しようとしたんです。


Q:カメラが微妙に揺れているようで、手持ちの効果もうまく出ているように感じました。


加藤:手持ち撮影でないところも沢山あります。微妙な動きが手持ちっぽく見えたのかもしれません。


Q:長回ししているかのようにお芝居が続きますが、カットはかなり細かく割られています。撮影は1カメで何パターンも撮られたのでしょうか?

 

加藤:そうですね。結構、回数を重ねましたね


Q:キャストの皆さんのお話を聞かせてください。木竜さんと藤原さんは、どのように決まっていたのでしょうか。


加藤:木竜さんはプロデューサーから名前が出て、実際に会って本読みしてもらって決まりました。直哉役を誰にするかとなったときに、普段一緒にやってる人で自分の感覚を理解してくれている人がいると良いのではとの意見が出たので、これまで何度も一緒に演劇をやっていた(藤原)季節にお願いすることにしたんです。



『わたし達はおとな』©2022「わたし達はおとな」製作委員会


Q:優実の両親や片岡礼子さん演じる産婦人科医など、すでに大人になっている人たちの存在も若者と比べてとても対照的です。そのあたりは意識されているのでしょうか?


加藤:結果的に対比として捉えてくれる人もいればと、それくらいの感覚でした。


Q:加藤監督は、これまでたくさんの演劇を演出されていますが、演劇と映画で何か違いを感じますか?


加藤:そうですね。演劇と映画というのはそもそも媒体の見方が違うものなので……。うーん、たくさんあり過ぎて分からないですね。演劇の方がよりリアルに作れるのですが、映画ではリアルにならないように作りながらも、リアルに見せること出来る。そう感じました。


Q:今回長編映画を作ってみて、全体を通していかがでしたか。


加藤:この映画の内容に関してというよりも、映画を作る際に意識することなど、細かな反省点がたくさんありました。その辺は次に活かしたいですね。


Q:今後は映画と演劇でどれ位のバランスで進めていかれるのでしょうか? 


加藤:その媒体に合うものを書けたときに、その媒体でやれるというのが一番良いですよね。また書きたいと思うものがあって初めて、そこから少しずつ進むのかもしれないですね。




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監督・脚本:加藤拓也

1993年12月26日生まれ、大阪府出身。17歳の時、ラジオ・TVの構成作家を始め、翌年にはイタリアへ渡り、映像演出について学び、日本に帰国後、「劇団た組」を立ち上げ舞台演出を始める。「平成物語」(フジテレビ系)、「俺のスカート、どこ行った?」(2019年/日本テレビ)など話題のテレビドラマの脚本を手掛け、「きれいのくに」(2021/NHK)では第10回市川森一脚本賞を20代で初受賞。また自身が主宰する「劇団た組」で感性鋭い作品を発表し続け、今作がオリジナル脚本による監督デビュー作となる。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『わたし達はおとな』

6月10日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開

配給:ラビットハウス

©2022「わたし達はおとな」製作委員会

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