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『“それ”がいる森』中田秀夫監督 Jホラーのくびきを乗り越えるため「動の演出」で新作に挑む【Director’s Interview Vol.244】

『“それ”がいる森』中田秀夫監督 Jホラーのくびきを乗り越えるため「動の演出」で新作に挑む【Director’s Interview Vol.244】

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恐怖演出の秘密



Q:相葉雅紀さん演じる主人公と息子の関係性が濃密に描かれます。特に息子の視点でジュブナイル的な展開もあり、そういう面でも中田監督にとってはチャレンジングな内容だったのではないでしょうか?


中田:チャレンジではありましたね。相葉さんの息子を演じた上原剣心君は、映像出演は初めてなんです。ジャニーズJr.として活動していて、舞台の経験はあるけどお芝居に関しては新人。でも彼が映画ではかなり重要な役で、森の中の「それ」と初めて遭遇する。


Q:容赦なく子供たちも犠牲になりますね。


中田:それは容赦ないですね。人情は通用しないです(笑)。最後にどのように子供達がいなくなってしまうのかも見せざるを得ないと思ったし、その辺は勝負って感じです。今までと全然違うのは承知の上でやっているので。



『“それ”がいる森』©2022「“それ”がいる森」製作委員会 


Q:監督としてはもっと幅広い世代に楽しんでほしいという思いもあるのかなと思いました。とは言え子供にも甘くない展開でなかなかバランスが難しかったのではないでしょうか。


中田:小学生が多く出てくることもあって、映画のターゲットはティーンエイジャー、小学校の高学年から中学生、高校生が中心です。とはいえ子供向け映画のつもりはなく、大人でも子供心で観てもらって、ワクワクするようなものにしたいと思っていました。子供は想像力が豊かだし、見たことのないものに接した時に、不安とか恐怖もあるけど、ついワクワクしてしまう。常識がまだ固まっていないから柔らかく対応する。子供のそういう柔らかい想像力と感性を持った人なら、この話を受け入れてくれるはずだという思いはあります。


Q:長年ホラーを撮ってきた中田監督が恐怖表現で観客を怖がらせようとする時、撮影、編集、音響の中で、どのポイントに一番気を使われるのでしょうか?


中田:一番とは言わないけど、音は凄く重要です。特に音のメリハリを重視します。例えば静かな間があって、「何か出るのか?」と思わせる。でも肩透かしで出ない、とか。


映画は2次元の写真や絵画と同じ視覚的な芸術だと思われがちですが、音楽と同じ時間芸術でもある。その時間をうまく利用することが大切です。観客を焦らすことも必要ですし、それから怖がらせる時は思い切って音を付けるとか。それはこの作品でも心がけたことです。



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監督:中田秀夫

1961年生まれ。岡山県出身。東京大学卒業後、にっかつ撮影所に入社 。92年、TVドラマ「本当にあった怖い話」シリーズを演出 。96年に『女優霊』で映画監督デビューを果たし、その後『リング』(98)、『リング2』(99)で日本映画界にホラーブームを巻き起こす。その後ハリウッドに招かれ、『ザ・リング2』(05)を自ら監督する。近年の監督作品として『クロユリ団地』(13)、『劇場霊』(15)、『スマホを落としただけなのに』(18)、『貞子』(19)、『事故物件 恐い間取り』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(20)、『嘘喰い』(22)などがある。



取材・文: 稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)




『“それ”がいる森』

9月30日(金)全国公開

配給:松竹

©2022「“それ”がいる森」製作委員会 

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