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『よだかの片想い』松井玲奈x中島歩 原作既読と未読の化学反応 【Actor’s Interview Vol.25】

『よだかの片想い』松井玲奈x中島歩 原作既読と未読の化学反応 【Actor’s Interview Vol.25】

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原作を読むか、読まないか



Q:二人のシーンも比較的長回しが多く、自然な掛け合いがとても印象的でした。監督からはどのような演出指示があり、実際にどのように演じられたのでしょうか。 


中島:その辺についての具体的な指示は、監督からは特になかったと思います。ただ僕自身が意識していたのは、原作が小説なので、アイコも飛坂もそのままやるとすごく言葉を持つ人物になってしまうこと。特に冒頭の居酒屋のシーンで初めて二人が会うところは、説明のセリフも多くて大変でした。しゃべればしゃべるほど胡散臭くなるし、説明がうますぎても胡散臭い。生っぽい芝居にしたかったら、脚本でいうと大体1〜2行くらいで十分ですね。今振り返ってもあれはすごく難しかった。


松井:中島さんと初めて本読みをしたときに、まさに今しゃべってるくらいの感じで中島さんがセリフを話されたので、まずそこに刺激を受けました。「あっ、今作っているものをもっと削いでナチュラルにしていかないと、私も同じトーンにならない」と思ったんです。中島さんが先ほど指摘されたように、しゃべりすぎると嘘っぽくなってしまうので「人って普通はこんなにしゃべらないですよね」と監督と相談しつつ、少しずつセリフを調整しながら進めました。



中島歩


中島:松井さんは原作を読んで「これを映画化したい!」と今回始められたので、すごく大変だったと思います。たぶん頭が言葉でいっぱいになってたんだろうなと。だから僕はあえて原作を読まずに臨みました。やっと最近読んでみたのですが、悪い意味ではなく本当に読まずに良かったなと。なぜならアイコの気持ちがそこに全部書かれていたから。読んでその気持ちを知ってしまうと、それはたぶん俳優同士のコミュニケーションを阻むものになりかねない。また、読んでしまうとどうしてもそれを再現しようとしてしまいますが、松井さんはそうはなってなかった。自分の言葉で僕に話しかけてくれて、そして僕の言葉を聞いてくれた。でもそれは相当大変だっただろうなと思いますね。


松井:いえいえ、まぁ大変は大変だったんですけど(苦笑)。


中島:脚本だけを読んでやるのとは全然違うでしょ?


松井:全然違いますね。確かに原作には全部書いてあって、感情も書かれているからそれに沿おうとしてしまうこともありました。そこは監督と話合いながら調整していきましたが、映画の中では描かれなかったアイコの経験してきたことや飛坂さんとの場面など、そういった原作に書かれている部分を補完しつつアイコいう人物を作っていきました。そうやって原作をお守りのようにしていた部分もあるんです。だから中島さんが原作は読んでなかったと知って私はすごく衝撃でした(笑)。でも今の中島さんの話を聞いていると、私が原作を読んでいて中島さんが読んでいなかったという対比が面白いなと思いますね。



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