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『よだかの片想い』松井玲奈x中島歩 原作既読と未読の化学反応 【Actor’s Interview Vol.25】

『よだかの片想い』松井玲奈x中島歩 原作既読と未読の化学反応 【Actor’s Interview Vol.25】

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シリーズが生み出す意味



Q:本作は「(not) HEROINE movies」というシリーズで、監督の安川有果さんは比較的若手です。結果、新しい感性で撮られた素晴らしい作品が出来ましたが、このような新たな試みについて、どのように思われますか?

 

松井:今回の作品は製作がメーテレさんで、過去にメーテレさんが作られた他の作品でも好きなものはいくつかあります。「あっ、これもあれもメーテレさんが関わってる」と、その面白さを感じたとき、それが一つのシリーズになっていると、映画との新しい出会い方が生まれそうですよね。そういう意味でも面白い企画だと思いますし、いろんな監督さんがこれからも撮っていかれると思うので、次はどんな作品になるのかすごく楽しみです。


中島:この映画はとてもモダンな作品だと思っています。展開自体がモダンだし、ルッキズムの問題も孕んでいて、コンプレックスを乗り越えるのではなくむしろ受け入れていく。それは三宅弘城さん演じる安達教授が言う「変わる必要はない」というセリフにも象徴されています。そこには僕自身もすごく勇気付けられました。コンプレックスは皆何かしら持っていて、それとどう対峙していくか格闘していると思うのですが、その落とし所がこの映画ではすごく現代的だった。女性の監督で主人公が女性、そして素朴な女の子の話というのは、ここ数年で広がってきたこともあり、このシリーズはいい流れだと感じますし、また一つ新しい多様性が生まれた気がします。



『よだかの片想い』©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会


Q:では最後の質問です。影響を受けた好きな映画を教えてください。


中島:僕は『ビッグ・リボウスキ』(98)みたいなナンセンスな感じが好きなんです。『パンチドランク・ラブ』(02)なども、恋愛衝動みたいなものが描かれていて大好きですね。


松井:最近だと『ミッドサマー』(19)です。私はスプラッターが好きなのですが、あれってすごくエンタメだと思うんです。どうグロテスクに見えるか、どう痛く見せるか、演じる側は痛くないのに痛いふりをしたり、多くの人が集まって本当はそこに無いものを本物に見せようとしている。そういう意味で『ミッドサマー』は、観た人の心をどう揺さぶろうかという、スペシャリストたちの強いエネルギーを感じたんです。とても好きな作品ですね。




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松井玲奈

1991年、愛知県出身。2008年デビュー。主な映画出演作に、『はらはらなのか。』(17/酒井麻衣監督)、『21世紀の女の子』(19/坂本ユカリ監督)、『女の機嫌の直し方』(19/有田駿介監督)、『今日も嫌がらせ弁当』(19/塚本連平監督)、『幕が下りたら会いましょう』(21/前田聖来監督)など。またNHK連続テレビ小説「まんぷく」(18) や「エール」(20)、TBS火曜ドラマ「プロミス・シンデレラ」(21)にレギュラー出演。映画・TVドラマ・舞台など役者として活躍するだけでなく、小説集 「カモフラージュ」(集英社)にて小説家デビューを果たし文才も高く評価される。その後もエッセイ集 「ひみつのたべもの」(マガジンハウス)、小説「累々」(集英社) などを執筆。





中島歩

1988年生まれ、宮城県出身。舞台『黒蜥蜴』のオーディションで200名の中から選ばれ、2013年に同舞台で俳優デビュー。主な出演作に、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18/冨永昌敬監督)、『いとみち』(21/横浜聡子監督)、Netflix『浅草キッド』(21/劇団ひとり監督)、『偶然と想像』(21/濱口竜介監督)、『愛なのに』(22/城定秀夫監督)などがある。第35回「高崎映画祭」では最優秀助演俳優賞を受賞した。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『よだかの片想い』全国公開中

配給:ラビットハウス

©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

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