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『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』竹林亮監督x円井わん タイムループを現場が徐々につかんできた!【Director’s Interview Vol.249】

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』竹林亮監督x円井わん タイムループを現場が徐々につかんできた!【Director’s Interview Vol.249】

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細かいルールがじわじわ効いてきた



Q:素材がたくさんあって編集作業はかなり大変だったのではないでしょうか。


竹林:僕は前作で『14歳の栞』(21)というドキュメンタリーを作ったのですが、そのときの編集の方が大変でした。中学2年生の1クラスを追いかけていて、映像素材が無尽蔵にあったので如何様にでもつなげたんです。一方で今回は、シーンのナンバーも分かるし脚本通りにつなげていけば大丈夫なので、その点は前回と比較するとかなり助かりました。素材を並べて完成がだんだん見えていくのはすごく楽しかったです。


Q:現場の話を伺うと皆さん楽しそうでアドリブもたくさんあったように感じましたが、編集でその辺の整合性は問題なかったのでしょうか。


竹林:そこは大丈夫でした。スタッフ全員が準備の段階でしっかり整合性を整えてくれていたので、それを踏まえて撮影できたおかげだと思います。また、細かいルールも色々作っていて、例えばパソコン画面の中や机の上など、徐々に変化していくルールがありました。そこに観客がどのくらい気づくか分からないけど、とにかくそのルールに則って準備をしてちゃんと撮影しておいた。そうすると、編集をしているときにそのルールの部分がじわじわ効いてくるんです。撮影時にはどう効くか分からなかったものが、最後になって効いてきた部分がありましたね。



『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(C) CHOCOLATE Inc.


Q:タイムループという構造を使いつつ、その構造自体が人生のテーマになっているという深い面も感じました。「終わらないプレゼン作業」というお仕事映画の側面も重要な意味を持っています。その辺に込めたものがあれば教えてください。


竹林:タイムループ自体が深いテーマだなと常々思っていました。『恋はデジャ・ブ』なんかはすごく好きなんです。ありえない設定なのにこんなにも心が動かされる。あのすごい読後感みたいなものを大事にしたいと思っていました。今回はそれが1週間のループで感じられるのだろうかという懸念もありましたが、映画の中盤以降の展開を通してうまく表現できたかなと思います。


学生のときはすごく映画が好きだったけど、CM業界に入って映画からはしばらく遠ざかっていた。そんな自分のくすぶってた気持ちを投影することができたし、人生の焦りみたいなものもうまく入れ込めたと思います。元々上司を題材にしたはずなのに、チームの皆のモヤモヤした気持ちや、希望や信念なども入っていったのが良かった。そんな色んな視点のおかげで深みを増すことができたのかなと、今はそう思っています。


円井:完成した作品を観た後、ご挨拶をするときには涙が出てました。演じている時も皆さんのセリフでハッとすることも多かったし、完成した作品自体も自分自身にすごく効きました。一観客としてめちゃくちゃ楽しませてもらったし、グッときた部分もありました。特に部長のシーンは「うわーっ」となりましたね。


Q:最後に、ご自身が影響を受けた映画作や好きな映画監督などがあればぜひ教えてください。


竹林:僕はもともと『メリー・ポピンズ』(64)と『ホーム・アローン』(90)がめちゃくちゃ好きなんです。でも高校生ぐらいのときにガイ・リッチーの『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)や『スナッチ』(00)を観て相当興奮してしまった。そのサントラを自主制作映画に使ったり編集を真似たりしてましたね。スパイク・ジョーンズの『マルコヴィッチの穴』(99)もすごく好きです。あれはめちゃくちゃ自由な映画ですよね。日常からスタートするのにものすごく非日常なところまでとんでいって心も持っていかれる。スパイク・ジョーンズのあの感覚は本当にすごい。ガイ・リッチーやスパイク・ジョーンズにはすごく影響を受けましたね。


円井:私は戦争映画をよく観ていて『プライベート・ライアン』(98)などが特に印象に残っています。最近『コントラ』(19)という映画に出演したのですが、その映画をやるときに監督から「この映画を観ておいてくれ」と言われたのが、アンジェリーナ・ジョリーが監督したNetflixの『最初に父が殺された』(17)。出てくる子供たちがとにかくすごくて、いつまでも心に残っていますね。




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監督:竹林亮

1984年、神奈川県出身。コマーシャル、YouTubeオリジナルコンテンツの制作会社を経て、2016年より独立し、CHOCOLATE Inc.に所属。時代を問わない普遍的なストーリーをもつ、あたたかな映像作品を得意とし、現在はコマーシャル、YouTubeコンテンツ、リモート演劇、映画等、表現は多岐にわたる。監督・原案・共同脚本を務めた、あさぎーにょ主演のYouTube短編映画「ハロー!ブランニューワールド」(動画名:もう限界。無理。逃げ出したい。)は国内外で5000万回以上再生され、多数受賞。すべての工程をインターネット上のみで仕上げたリモート演劇「Bestfriends.com」はメディア芸術祭の審査員推薦作品に選出された。また、2021年3月には青春リアリティ映画「14歳の栞」が公開。1館からのスタートだったが、SNSで話題となり36都市まで拡大した。





主演:円井わん

1998年1月3日生まれ。大阪府出身。映画『獣道』(17)でスクリーンデビュー。ABEMATVドラマ「ブラックシンデレラ」(21)で初のレギュラー出演、映画『KONTORA-コントラ』(21)で初主演を務めた。ほか近年の出演作に『鳩の撃退法』(21)、『DIVOC-12』(21)、Amazon Prime Video「ショート・プログラム-ゆく春」(22)、ABEMAドラマ「ANIMALS‐アニマルズ‐」(22)、『貞子DX』(22)などがあり、活動の幅を広げている。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成


円井わん スタイリスト:飯間千裕 ヘアメイク:MARI(SPIELEN)





『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』

10月14日(金)、シネクイント他全国順次公開!

配給:PARCO

(C) CHOCOLATE Inc.

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