『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』竹林亮監督x円井わん タイムループを現場が徐々につかんできた!【Director’s Interview Vol.249】
徐々に“つかんで”きた現場
Q:タイムループということで同じことを繰り返すわけですが、撮影はかなり大変そうですね。現場は混乱しませんでしたか。
円井:(竹林監督を見て)しましたよね(笑)。
竹林:無茶苦茶しました(笑)。
円井:今日は何週目の何曜日の撮影なんだ?ってなってました。
竹林:実はループに気づいた人は衣装やメイクが微妙に変わっているんです。その辺はかなり複雑だったので、撮影現場に大きな表を貼って次のシーンは何週目の何曜日の何時を撮るのかって、皆で認識共有をしてました。もちろん美術も微妙に変わっていて、パソコンの画面の中身まで変えなきゃいけない。ものすごく細かいところまで調整しなければならないので、皆ちょっと神経衰弱気味になってました。分かりやすいように、なるべく順撮り*っぽくしたつもりでしたが、役者さんはやり辛かったかもしれませんね。(*順撮り:脚本の順番通りに撮影すること)
円井:でもタイムループものは初めてだったので、結局はこういう感じなのかなと。難しかったけど面白かったです。なかなか出来ない体験ですよね。
Q:演じ方も微妙に変えていますよね。そこの調整もかなり大変そうです。
円井:そうですね。同じにしておく部分と微妙に変わる部分、徐々に変わっていく部分もありました。あと、タイムループに気付いた人はちょっと余裕が出てくるんですよ(笑)。映画の中盤になるにつれて内容も変わってくるので、そこからは映画と現場の雰囲気が同じになってました。
竹林:確かに、途中からは皆“つかんできた”感じがありました。
円井:皆だんだん乗ってきてた(笑)。
Q:微妙に変化していく行動についてですが、その辺のニュアンスはどのように調整されたのでしょうか。
竹林:各キャラクターの成長像をお伝えしましたが、後は自由にやってもらいました。
円井:本当に任せていただけたので、そこはストレスなくやれた印象があります。他の皆さんにも助けられましたし、とにかく楽しかったです(笑)。
竹林:撮影中はずっとふざけてましたよね(笑)、特に遠藤と村田。
円井:そうそう、私の後輩役の遠藤・村田の二人組はずっとふざけてたので、私も一緒にふざけてました(笑)。
Q:村田役の三河悠冴さんは『さかなのこ』(22)でもすごく印象的なヤンキー役です。今回は全然違う役柄で驚きました。
竹林:『佐々木、イン、マイマイン』(20)の三河さんもすごいんです。地元で停滞しているやばい友達みたいな感じの役だったのですが、めちゃくちゃリアルだった。
円井:三河さん、怖いくらいすごいですよね(笑)。
Q:三河さんはタイムループを説明するセリフも結構あるので、それをいかに自然に言うか難しそうですよね。
円井:「俺、めっちゃ説明セリフになってたよね?大丈夫かな?」って心配してましたけど、全然大丈夫でしたね。
竹林:そんなふざけた感じがすごく魅力的で面白かったです。特に鳩が窓にぶつかった瞬間の皆の顔が面白くて…、編集してると笑っちゃうんです(笑)。
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(C) CHOCOLATE Inc.
Q:鳩のシーンはこの映画のすごいところですよね。何度も出てくる同じシーンに見えるのですが、この人は気付いているんだと思うと、見え方が全然違ってくる。
竹林:「こんな感じがいいな」と参考にしたのが『インセプション』(10)。あの映画のラストで飛行機の中で全員が深い眠りから覚めて目が合うところ、ああいう感覚に近づけるといいなと思っていました。
Q:実は皆認識が共通している。
竹林:目覚めたばかりなのに皆の意識が妙につながる。まさに『インセプション』感を目指しました。
Q:ちなみに同じ映像を使ってるところはあるのでしょうか。
竹林:ありますね。
円井:へぇ、それは分からなかったですね。
Q:どこが同じでどこが違うの全然分からない(笑)。
竹林:全く同じように見えた方が良いところと、変わっていることを気づかせるところなど微妙に変えています。繰り返すことで出てくる滑稽さみたいな感じを出したくて、あえて全く同じ映像を使ったりしましたね。