1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】
『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】

『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】

PAGES


沖田映画にまた傑作が誕生した!さかなクンの人生を映画化した『さかなのこ』は、のんがさかなクンをモデルにした主人公“ミー坊”を演じることに象徴されるように、全編に渡って自由さに溢れた作品だ。実在の人物をモデルにその人の半生を描くという、まさに映画的なこの題材は、沖田修一監督の手によって、ユーモアに彩られつつも、まるでハリウッド映画のようにダイナミックに、そしてドラマチックに展開していく。自由で楽しい映画の骨格を作るのは、時間をかけて考え抜かれた、脚本と演出。沖田映画はいつもどのように生まれてくるのか?話を伺った。



『さかなのこ』あらすじ

お魚が大好きな小学生・ミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供と少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続ける母親に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるで何かの主人公のようにいつの間にかみんなの中心にいたが、卒業後は、お魚の仕事をしたくてもなかなかうまくいかず悩んでいた…。そんな時もお魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの出会いと優しさに導かれ、ミー坊だけの道へ飛び込んでゆくーー。


Index


男か女かは、どっちでもいい



Q:映画はとても面白かったです。ふと、これは沖田版『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)では?と思ってしまいました。


沖田:(笑)スタッフの誰かも『フォレスト・ガンプ』って企画の時に言ってました。


Q:一人の人間の半生を描くことはいかがでしたか? 


沖田:さかなクンは有名人なので行き着くところは皆わかっている。だから逆に、どうやって今にたどり着くんだろうという面白さがありました。脚本を書いてくれた前田(司郎)の初稿では、さかなクン(ミー坊)が死ぬまでのことが書いてあったんです(笑)。半生を飛び越えてもう勝手に死んじゃってた(笑)。なんか自由でいいなと思いました。


Q:さかなクンのエッセイをベースにしつつも、脚本はほぼオリジナルだったのでしょうか。


沖田:そうですね。さかなクンの実際のエピソードは使っていますが、ミー坊の映画としてすり替えてしまった部分はあります。「魚が好きな人の映画」という大きな意味で自由に発想しました。



『さかなのこ』©2022「さかなのこ」製作委員会


Q:映画の中に、さかなクン自身も出てきたので驚きました。


沖田:さかなクンが出てくるので、もはやさかなクンの映画じゃない(笑)。


Q:最近のハリウッドでも、現代を生きている実在の人物を描く映画が色々ありましたが、それらと同じ面白さがあり全く遜色ありませんでした。


沖田:こっちは性別も変えていたので、どういう風に映るかなと少し心配した部分もありました。


Q:冒頭に「男か女かは、どっちでもいい」とドンとテロップが出ますが、まさに本質をついていて良かったです。


沖田:脚本を書いているときに冗談半分で入れていたのですが、恥ずかしくなって途中でやめたんです。でも意外と皆から好評だったので、編集のときに再び入れてみると「この映画のルールです」みたいな感じがして面白かった。それで「入れちゃえ」と。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】