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『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】

『さかなのこ』沖田修一監督 自分たちが楽しんでいる部分を観ている人が楽しんでくれたら【Director’s Interview Vol.236】

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ガラス細工のような編集



Q:今回の『さかなのこ』含めて、沖田映画はおおらかなイメージがありますが、でも実はドラマチックでダイナミックさも感じます。おおらかに作っているように見えて結構緻密ですよね。


沖田:「沖田映画では何も起こらない」みたいなことを言われることがあって、心外だなと思います。そんなに穏やかでゆったりした映画を作ってるつもりもないし、「ほっこりしますね」みたいなことを言われると「そんなつもりないんだけど」って実は思ってます(笑)。他の人が作った映画を観ている時に、その映画の中でよほどのことが起こっているのを観ると「(自分の映画では)さすがにここまでのことは起きてねーな」と思うときもあります。自分たちの身の回り程度の事件で映画を作りたいと思うと、ちょっとゆったりした映画にみえるのかもしれません。


でも脚本もすごく時間をかけて悩むし、間やタイミングもガラス細工みたいな編集をして神経質にやっています。そういう部分はデビュー当初から変わらずあるので、それが無くなったら自分の映画じゃなくなるんじゃないかな。



『さかなのこ』©2022「さかなのこ」製作委員会


Q:今回のスタッフ、撮影の佐々木靖之さんや編集の山崎梓さんは沖田組初参加ですね。


沖田:撮影の佐々木さんは、プロデューサーの西ヶ谷さんが推薦してくれました。自分が観てた映画でも佐々木さんがいい仕事をしてたし、僕も一度やってみたかった。カメラマンはこれまでもいろんな方とやっていて、今回も新しい方とご一緒できたのはよかったですね。また今回は、僕が「洋画みたいに撮りたい。ティム・バートンみたいなイメージ」って言ったので、「じゃあフィルムでやりましょう」と全部16mmフィルムで撮影しました。まったくティム・バートンにはなれなかったですけどね(笑)。


Q:最近の沖田さんの制作ペースがかなり早くなっている気がします。オファーは絶えないかと思いますが、作品はどのように選ばれているのでしょうか?

 

沖田:そこは本当に難しいです。『おらおらでひとりいぐも』(20)や『子供はわかってあげない』(21)と原作モノが続いたので、次は自分がやりたいことに素直になって時間をかけて企画してみようかなと思っています。




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監督:沖田修一

1977年、埼玉県生まれ。2001年、日本大学芸術学部映画学科卒業。数本の短編映画の自主制作を経て、2002年、短編『鍋と友達』が第7回水戸短編映像祭にてグランプリを受賞。2006年、初の長編となる『このすばらしきせかい』を発表。2009年、『南極料理人』が全国で劇場公開されヒット、国内外で高い評価を受ける。2012年公開の『キツツキと雨』が第24回東京国際映画祭にて審査員特別賞を受賞し、第8回ドバイ国際映画祭で日本映画初の3冠受賞を達成。2013年『横道世之介』で56回ブルーリボン賞最優秀作品賞などを受賞。近作の作品に映画『滝を見にいく』(14)、『モヒカン故郷に帰る』(16)、『モリのいる場所』(18)、『おらおらでひとりいぐも』(20)、『子供はわかってあげない』(21)などがある。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『さかなのこ』

9月1日(木)よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー

配給:東京テアトル

©2022「さかなのこ」製作委員会

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