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『ノースマン 導かれし復讐者』ロバート・エガース監督 A24発〜大作行きを経験した映画作家の“不変”【Director’s Interview Vol. 275】

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『ノースマン 導かれし復讐者』ロバート・エガース監督 A24発〜大作行きを経験した映画作家の“不変”【Director’s Interview Vol. 275】

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組への想い、時代モノを作り続ける理由



Q:『ノースマン 導かれし復讐者』は、エガース監督のチーム――日本では“組”と呼ぶのですが、エガース組が超大作に乗り込んだ作品だと感じています。最後に、組への想いを教えて下さい。


エガース:いつも一緒に組んでいる常連のメンバーは、僕が何よりも一緒に組みたい相手です。それは気心が知れていることももちろんありますが、やっぱり各セクションの適任者だから。特に今回はこれだけの大作を作るというただでさえ大変なプロジェクトなわけですから、自分と同じ撮影言語がある人たちじゃないとやっぱり苦しい。ツーカーになれる人たちだからこそ、作り上げられたと思います。


そして、こうしたスタッフィングへの想いをスタジオ側がちゃんと理解してくれたのも大きかった。「いままで組んできた人たちと同じようにコラボレーションしてください」と許可してくれたので、いつもの仲間たちとスケールの大きいものをやるんだ、という形で現場を回すことができました。


そして、各部門のリーダーに『ゲーム・オブ・スローンズ』や『スター・ウォーズ』『007』『ハリー・ポッター』、或いはリドリー・スコット監督の現場に入っていた経験豊かな人たちがついてくれました。もちろんそのなかで、僕たちのやり方を押し通さなければならない瞬間もありました。ただそんなときも「通常はこうなんだよね」とは言いつつ、「今回はやり方を変えてこうしたいんだ」という僕たちの主張をちゃんと聞き入れてくれました。



『ノースマン 導かれし復讐者』© 2022 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、単純な興味なのですが――エガース監督は現代劇にご興味はあるのでしょうか。


エガース:全然ありません!(笑) 僕が何より楽しいのは、色々なことを夢想したり調べ物をしているとき。時代モノだと、どっぷり深くまで入り込んでそれらの作業を行えますから。


現代劇だと調べるといっても範囲が限られますし、例えば「この部屋の壁紙をどうしようか」なんて永遠に考えていられない。でも時代モノだと、それがすごく大事なものだったりする。それが面白いんです。僕は「映画を撮るために撮る」みたいなことも別にしたくないですし、自分の好きな題材じゃないと撮りたくない。だったら絵を描いたり本を書いたりする方が面白いと思ってしまいます。


ただ、自分のやっていることをリピートするのにも限界がありますから、僕の映画作家としてのキャリアは短いかもしれません。願わくば、「1970~80年代の髪型はどうだっけ」というようなものより、1600年代のニューイングランドや(ウィッチ)ヴァイキングの時代(ノースマン 導かれし復讐者)のように壮大な題材を扱っていたい。


そして、それらが(観る者の)時代を問わない永遠なる物語になっていけばいいなと思います。息の長い作品を撮れていけたらうれしいですね。



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監督・脚本:ロバート・エガース

1983年7月7日生まれ、米ニューハンプシャー州出身。ブルックリンを拠点に活動する脚本家、映画監督。NYの劇場で演出やデザインを手掛け、次第に短編映画や、映画のデザイナー、テレビ、出版、劇場やダンスなどの分野でも活躍するようになる。アニャ・テイラー=ジョイを主演に迎えた『ウィッチ』(15)で監督&脚本を務めて長編映画デビュー。同年のサンダンス映画祭でプレミア上映され監督賞を受賞、批評家からも大絶賛を浴びた。また、インディペンデント・スピリット賞で第一回作品賞、脚本賞をW受賞。続く『ライトハウス』(19)は、カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞(批評家週間・監督週間)に輝いたほか、米アカデミー賞、英国アカデミー賞の撮影賞にもノミネートされた。



取材・文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema




『ノースマン 導かれし復讐者』

1月20日(金)全国公開

配給:パルコ ユニバーサル映画

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