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『対峙』フラン・クランツ監督 観客に感じて欲しい“痛み”とは 【Director’s Interview Vol.279】

© 2020 7 ECCLES STREET LLC

『対峙』フラン・クランツ監督 観客に感じて欲しい“痛み”とは 【Director’s Interview Vol.279】

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役者との議論から生まれるセリフ



Q:初監督作でこれほど圧倒的な作品を作られたのは驚くべきことですが、製作にあたり不安やプレッシャーはありませんでしたか?


クランツ: 製作中はナーバスになり不安もありましたが、逆にそれを利用しました。謙虚な気持ちで心を開き周囲の意見に耳を傾けたんです。リハーサルで役者が気になったところはどんどん脚本に取り入れていきました。例えば、被害者の母ゲイルを演じたマーサ・プリンプトンが「ゲイルは相手を許す役だけど、何か一つ足りないような気がする」と相談してきたときは、2人で議論を重ね次のような見解にたどり着きました。「ゲイルはこれまで相手を憎むことで自分の息子を失わずにいたが、許してしまうと息子を失うという恐れを抱いているのではないか」と。これは劇中のセリフとして実際に使うことになりました。



『対峙』© 2020 7 ECCLES STREET LLC


初めての監督作ということでナイーブになっていたので、撮影が終わっただけで泣いてしまいました。まるでエベレストに登頂したような気持ちでしたが、まさかその後、編集や音の苦しい作業が待っているとは夢にも思いませんでした。次回はちゃんとペース配分を考えて臨みたいですね(笑)。




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監督・脚本:フラン・クランツ

1981年、アメリカ、カリフォルニア州生まれ。1998年、TVシリーズで俳優としてのキャリアをスタートし、70本を超える作品に出演する。主な出演作は、『ヴィレッジ』(04)、『ニューヨーク高校白書 ~ゴーゴーダンサー潜入大作戦~』(06・劇場未公開)、「プライベート・プラクティス2 迷えるオトナたち」(08~09)、「ドールハウス」(09~10)、『The NC』(10・劇場未公開)、『グレッグのおきて』(11・劇場未公開)、『キャビン』(11)、『君の男になるために』(14・劇場未公開)、『マーダー・オブ・キャット』(14・劇場未公開)、『ラスト・ウィークエンド』(14・劇場未公開)、『極悪の流儀』(15・劇場未公開)、『ダークタワー』(17)、「ジュリア -アメリカの食卓を変えたシェフ-」(22)など。本作で、初めて脚本・監督を手掛け、世界各国の映画祭で絶賛され、数多くの栄えある賞に輝く。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『対峙』

2⽉10⽇(⾦)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

配給:トランスフォーマー

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