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深田晃司監督による特別寄稿「宮崎駿とわたし」

© 1986 Studio Ghibli

深田晃司監督による特別寄稿「宮崎駿とわたし」

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一番好きな宮崎駿作品



 最後に余談。一番好きな宮崎作品は何か、と問われれば言わずと知れたテレビシリーズの代表作『未来少年コナン』と即答するだろう。


 『天空の城ラピュタ』にはまりこんで評論をかたっぱしから読んでいた中学生の私にとって目障りだったのは、何かと言うと「宮崎駿が本当に凄いのはカリオストロより前だ」とのたまう老人たちの存在である。当時の私の気持ちを今時の言葉に置き換えれば「懐古厨氏ね(これも古い?)」だったろう。しかし、その後、大学に入り東京の名画座でオールナイトで一挙上映された『未来少年コナン』を見て、私はただただ土下座したい気分になった。面白すぎるのだ。例えて言えば『天空の城ラピュタ』でのティディス要塞シータ救出場面に匹敵する名場面が、特に中盤以降30分に一度は訪れるのだ。そして、興奮しっぱなしのうちに迎える最終話のあまりにも完璧な大団円!


 もしまだ『未来少年コナン』を見ていない人がいたら、ぜひTSUTAYAに走って欲しい。少々グリーンピースの匂いのする主題歌さえ乗り越えられれば、そこには豊穣なる冒険の世界が待っているはずだ。


*出典

(*1)講談社刊少年マガジン特別別冊「宮崎駿イメージボード集」

(*2)ロマンアルバム「天空の城ラピュタ」1986年9月15日刊行

(*3)「Comic Box」ふゅーじょんぷろだくと 1989年5月号 手塚治虫に「神の手」をみた時、ぼくは彼と決別した

(*4)「アニメージュ」1989年11月号





映画監督:深田晃司(ふかだこうじ)

 1980年、東京都出身。映画美学校監督コース修了後、2005年、平田オリザ主宰の劇団青年団の演出部に入団。2006年発表の中編『ざくろ屋敷』にてパリ第3回KINOTYO映画祭ソレイユドール新人賞を受賞。2008年『東京人間喜劇』がローマ国際映画祭、パリシネマ国際映画祭選出。大阪シネドライブ大賞受賞。2010年『歓待』にて東京国際映画祭日本映画「ある視点」部門作品賞、プチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞(NETPAC賞)を受賞。2013年には『ほとりの朔子』がナント三大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞をダブル受賞。タリンブラックナイト国際映画祭監督賞受賞。2015年、平田オリザ原作『さようなら』が東京国際映画祭コンペティション部門選出。マドリード国際映画祭にてディアス・デ・シネ最優秀作品賞を受賞。2016年公開『淵に立つ』では、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞。初ノミネートで初受賞は、20年ぶりの快挙。2018年5月26日、最新作『海を駆ける』(ディーン・フジオカ主演)を公開。また、フランス文化省から芸術文化勲章のシュバリエ(騎士)が授与されることが発表された。2012年よりNPO法人独立映画鍋に参加している。

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