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『J005311』河野宏紀監督x主演:野村一瑛 作り上げることだけに集中した【Director’s Interview Vol.306】

『J005311』河野宏紀監督x主演:野村一瑛 作り上げることだけに集中した【Director’s Interview Vol.306】

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絶対に撮りきる。曲げない意志



Q:「撮影のときの河野は狂ってた」という野村さんのコメントがありますが、実際の撮影現場はどのような感じだったのでしょうか。


野村:ロケ現場は警察や地域住民の方から目をつけられていて、その場所では撮影出来そうにない雰囲気だったにもかかわらず、ここで撮りきるんだと彼は絶対に曲げなかった。今までに見たことがない顔になっていました。その顔を見た時はさすがにちょっと狂ってるなと思いましたね(笑)。トラブルで撮影中止になりそうな場面は何度かあったのですが、僕は撮影の4日間はずっと撮られている状態だったので、当時のことを思い出そうとしてもあまり鮮明には出てこないんです。


Q:長い付き合いの中でも初めて感じる雰囲気だったと。


野村:そうですね。「これやりたいんだ」といった主張や我の強さは、もしかしたら彼の中には前からあったのかもしれませんが、それが見えたことはそれまで一度もありませんでした。いざ作品を作るとなると、「絶対曲げない」という意志のようなものが突然現れた感じです。


Q:河野監督はどのような気持ちだったのでしょうか。


河野:これで最後という感覚がありました。以前に一度ボツになったこともあり、今回は撮りきらないと人として駄目なんじゃないかと。今後の人生を考えると絶対にやりきらなければいけなかった。



『J005311』© 2022『J005311』製作委員会(キングレコード、PFF)


Q:ひったくりのシーンの撮影では、本物のひったくりに間違えられて警察に捕まったと聞きました。それでもまた同じ場所で撮影を敢行されています。そこにはどんな思いがあったのでしょうか。 


河野:野村と二人でロケハンをして、撮影場所は「ここでやりたい」と全て直感で選びました。普通に撮れると思っていたのですが、毎日トラブルが起こってしまった。録音の榊さんは監督経験のある方で「リスクなどを鑑みて止める判断をすることも監督の仕事だ」と、撮影中にアドバイスをもらったりもしました。ただ自分としてはスタッフには絶対に迷惑をかけないとは決めていて、あとは自分が捕まろうが死のうが関係ないと思っていたので、自分のやりたいと思った場所で撮影を続けました。


Q:河野監督と野村さん以外のスタッフは、撮影のさのひかるさんと榊さんだけ。たった四人の現場だったそうですが、スタッフとのやりとりはどんな感じだったのでしょうか。


河野:さのさんは同い年で撮影前のリハーサルから参加してもらいました。現場でトラブルがあったときでも「河野くんがやりたいことをやろう」と毎回言ってくれて協力してくれました。榊さんは撮影の四日間だけ来てもらったのですが、脚本は事前に渡しつつも無許可で撮影することは伝えていませんでした。多分ここまで大ごとになるとは思ってなかったと思うので、トラブルが起こるたびに現場の雰囲気が悪くなっていきました(苦笑)。もちろん僕らが悪いのですが…。その中でも榊さんは都度アドバイス言ってくれて、進行の柱のような存在でいてくれました。協力してくださったのは本当にありがたかったです。





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