劇場公開や映画祭入賞の実感がない
Q:完成した映画をご覧になって、今の反響も踏まえて作品に対してどんな思いがありますか。
河野:作り上げることだけをゴールにしていたので、別に作品が日の目を見なくても、自己満足でも良かったんです。だから、そのあとの公開や映画祭での入賞はもちろん嬉しいのですが、信じられない気持ちの方が大きいですね。いまだに本当に公開していいのだろうかと思っています。でも同時に楽しみでもあります。
野村:映画祭で入賞するなど評価をいただきましたが、正直まだ実感がありません。下手すると作品が完成したことすら実感がない状態が続いていて、いつまでこれが続くんだろうという感じです(笑)。
『J005311』© 2022『J005311』製作委員会(キングレコード、PFF)
Q:お二人が影響を受けた映画作品や監督を教えてください。
河野:ミヒャエル・ハネケの『ファニーゲーム』(97)です。こんなに自由でいいんだ、ルールはないんだと。すごいなと思いましたね。
野村:僕はアンドレイ・タルコフスキーがすごく好きです。いつかああいう作品を撮りたいと思ってます。
Q:次の作品を生み出すのは大変だと思いますが、多くの方が期待をしていると思います。次はどのような映画を作ってみたいですか
野村:次は僕が監督をする作品で製作を始めています。僕は19〜27歳ぐらいまで俳優をやってきましたが、それは第三者から見ると夢を追っている人間として映りますよね。その夢というものは一体何なのか、それを映画にしようとしています。この『J005311』とは全然違うテイストの作品を作っています。
河野:僕は子供が主人公の映画のプロットを書いています。自分の小学生の頃の半自伝みたいなものを考えていて、それも必ず撮りたいです。でも正直なところ今回はお金が一番きつかったので、今度は助成金など自分たちの出資以外で撮れれば嬉しいですね。
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※向かって左から河野宏紀、野村一瑛
河野宏紀
1996年1⽉22⽇⽣まれ。神奈川県出⾝。19歳の頃に俳優を志し、俳優養成所で演技を学ぶ。主な出演作に、『スペシャルアクターズ』(19/上⽥慎⼀郎監督)、『望み』(20/堤幸彦監督)、『由宇⼦の天秤』(21/春本雄⼆郎監督)など。全て独学で作り上げた本作が初監督となる。
野村一瑛
1995年⽣まれ。東京都出⾝。桜美林⼤学芸術⽂化学群演劇専修卒。表現するという事に強い関⼼を抱き、19歳で俳優を志し俳優養成所に通い始める。卒業後は映画を中⼼に、舞台、ミュージックビデオなどにも参加する。制作も担いながら初主演を務めた本作では、カナザワ映画祭2022にて期待の新⼈俳優賞を受賞した。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『J005311』
4月22日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
配給:太秦
© 2022『J005311』製作委員会(キングレコード、PFF)