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『不思議の国の数学者』パク・ドンフン監督 チェ・ミンシクの持つエネルギーと存在感【Director’s Interview Vol.308】

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『不思議の国の数学者』パク・ドンフン監督 チェ・ミンシクの持つエネルギーと存在感【Director’s Interview Vol.308】

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脱北した天才数学者と挫折寸前の劣等生。現実に失望しかけた2人が出会い、数学を通して人生を見つめ直していくーー。天才数学者に扮するのは韓国を代表する俳優として圧倒的な存在感を放つチェ・ミンシク。強烈であくの強い役を演じる印象のあるチェ・ミンシクだが、本作で演じるのは高校の警備員として働く脱北者。抑制された演技ながらもその隠しきれない存在感はさすがだ。本作を監督したパク・ドンフンは、ライティングとカメラワーク、こだわった構図を駆使しつつ、普遍的なドラマを一段上のレイヤーに引き上げることに成功している。パク監督はいかにして本作を作り上げたのか。話を伺った。



『不思議の国の数学者』あらすじ

学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者ハクソン(チェ・ミンシク)。彼は自分の正体を隠したまま、上位1%の英才が集まる名門私立高校の夜間警備員として生きている。冷たく不愛想なため学生たちから避けられているハクソンはある日、数学が苦手なジウ(キム・ドンフィ)に数学を教えてほしいとせがまれる。正解だけをよしとする世の中でさまよっていたジウに問題を解く「過程」の大切さを教える中で、ハクソンは予期せぬ人生の転換点を迎えることとなる。


Index


チェ・ミンシクの持つエネルギー



Q:主演のチェ・ミンシクさんの存在感が圧倒的です。世界に誇る名優だと改めて認識しました。キャスティングの経緯を教えてください。


パク:私はずっとチェ・ミンシクさんの大ファンで、彼の初期作品からずっと観てきました。『オールド・ボーイ』(03)の監禁された男や、『バトル・オーシャン 海上決戦』(14)のイ・スンシン将軍、『悪魔を見た』(10)の連続殺人鬼など、これまで強烈な役を演じてきたチェさんですが、今回演じてもらう役は高校の警備員。とある高校生と出会って深く交流していくという、これまでとは正反対の役柄です。でも彼のそういう姿を想像しただけで、とても楽しい作品になるだろうとイメージが湧きました。確信を持ってオファーさせていただきましたね。快く引き受けてくださったので、改めてこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたいです。


Q:撮影にあたりチェ・ミンシクさんとはどんなことを話されましたか。


パク:いろんなことを話しました。ときには一緒にお酒を飲み、プライベートな交流もありました。現場では脚本にないことも提案してくださり、そのおかげで良くなったシーンもあります。俳優として解釈する力やエネルギーはすごいものがある。チェ・ミンシクさんと一緒に映画を撮れたことは本当に光栄でしたね。



『不思議の国の数学者』© 2022 showbox and JOYRABBIT INC. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:ハクソンの人生の年輪を刻んだ顔と、ジウの純粋でまっさらな顔の対比がとても印象的でした。顔のアップも多かった印象があるのですが、何か意識されたことはありますか?


パク:二人の顔が並ぶと対照的ですよね。ハン・ジウを演じたキム・ドンフィはまるで白紙のように真っさらで、何にも染まってない印象がありました。その彼がチェ・ミンシクさんと一緒に映ることで調和が出てくる。そのおかげで、二人が醸し出す関係性やエネルギーを見せることが出来ました。でも実はクローズアップは意外と少ないんです。というのも、チェ・ミンシクさんの存在感が大きすぎて、クローズアップを撮るのがとても難しかった。一度トライしてあきらめたという経緯もありました。



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