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『名無し』城定秀夫監督 今まで見たことがない“変な映画”を作りたかった 【Director’s Interview Vol.553】

『名無し』城定秀夫監督 今まで見たことがない“変な映画”を作りたかった 【Director’s Interview Vol.553】

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白昼のファミレスを襲った無差別大量殺人事件。防犯カメラに残された容疑者の中年男からは、映っているはずの凶器だけが目視できない。佐藤二朗が原作・脚本・主演を務め、城定秀夫監督がメガホンをとった映画『名無し』は、観る者に強烈な衝撃と倫理的な問いを投げかけるサイコ・バイオレンス。


城定監督は本作の原作・脚本、そして主演の佐藤二朗といかに向き合い、いかにしてこの“変な映画”を作り上げたのか。話を伺った。



『名無し』あらすじ

白昼のファミレスを襲った無差別大量殺人事件。防犯カメラに残された容疑者の中年男(佐藤二朗)。被害者は誰もが鋭利な刃物で切りつけられていたが、映っているはずの凶器の姿だけが目視できない。鍵を握るのは男の右手。その手が向かう先には必ず何かが起こる。目に見えない力の秘密に隠された、恐るべき真実から逃がれることはできるのか?


Index


脚本家・佐藤二朗と対峙した監督



Q:脚本を一読して「面白いが、なかなかの難産になるぞ」と思われたそうですね。


城定:「倫理的にどうなのか」という部分があるテーマですし、僕が受け取った脚本は今の形とはかなり違っていて、諸々クリアしなければならない点が多かった。でも逆に、全然完成されていないところが、むしろ良いなと思いました。こういう企画でなければ、こんな変な映画は撮れませんから。


Q:プレスリリースの監督のコメントの中には、「哲学」という言葉が多く見受けられました。それは原作から感じ取ったものだったのでしょうか。


城定:山田が手にしたものは単に物理的に消えているわけではない。山田の思念や本人が思う概念みたいなものが、「名無し」というテーマに結びつけばいいなと。それはある種哲学的な、存在論のような部分。脚本直しの段階でそういう要素を入れようとしました。


最初の脚本は漫画版に近く、今言ったような設定はない状態で展開していました。映画と漫画は同時に進んでいたのですが、映画版は違う方向に向かいましたね。もし元の脚本に近いものを知りたいなら、漫画と比べることをおすすめします。各々の魅力があると思います。



『名無し』©佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ ©2026 映画「名無し」製作委員会.


Q:監督オファーを受けるにあたり原作・脚本・主演の佐藤二朗さんとはどんなお話をされましたか。


城定:二朗さんからは作品に対する相当強い思いを感じました。この脚本を持って色々なところを回っては、なかなか成立しなかった企画だというのは聞いていましたし、ご本人も「実現に向けて頑張りましょう!」と意気込まれていました。そんな強い思いを持たれている中で、これをどう映画に落とし込んでいこうかなと。ただ、二朗さんは「俺の思い通りじゃなきゃ嫌だ!」というタイプでは全然なく、脚本を直すことには柔軟に応じてくれました。


Q:前述された哲学的な解釈の部分についても、佐藤さんと話し合われたのでしょうか。


城定:そこは僕だけの解釈ではないんです。話し合いの中で「こういうのが良いのでは」と提案し、その要素が直接結びつくかどうか自信がない部分もあった中で、二朗さんが「それちょっとやってみますよ」と改稿に応じてくれました。そうやって要素がどんどん追加されていき、最終的に私が全体を手直ししたという経緯でした。今回の脚本は、十稿は超えていると思います。


二朗さんとは、脚本家と監督として普通に打ち合わせるつもりでしたし、向こうもその形で応じてくれました。決して有名俳優としてゴリ押ししてくるようなことはなく、本当に「脚本家と監督」として向き合うことができました。




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