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『逃げきれた夢』光石研×二ノ宮隆太郎監督 あり得ないことは描きたくない 【Director’s Interview Vol.321】

『逃げきれた夢』光石研×二ノ宮隆太郎監督 あり得ないことは描きたくない 【Director’s Interview Vol.321】

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若いチームは皆元気なのがいい



Q:撮影監督の四宮秀俊さんの手掛ける“ルック”がとても印象的です。四宮さんとはいつもタッグを組まれていますが、どのようなことを話して撮影に臨まれているのでしょうか。


二ノ宮:四宮さんとはカット割りを全部決めて撮影に臨んでいます。ずっと一緒に映画を作らせていただいている方です。四宮さんは普段は淡々としてるのですが、北九州でお酒飲ませていただいた時に「お互い1カット、1カット死ぬ気で撮っていこう」と言っていただいたことがとても嬉しく、忘れられません。


Q:光石さんはこれまで多くの監督と仕事をされていますが、二ノ宮さんのような若手の監督と仕事をした際に、ベテランの監督と比べて何か違いを感じたりされますか。


光石:僕らにとって、監督は監督なので年齢はあまり関係ないのですが、若い人たちのチームは、皆元気なところが良いですね。皆が元気に頑張っている姿を見ると、「おっさん、置いてくよ」ってこっちの尻を叩かれているようで刺激になります。今の現場はヒエラルキーもあまりなくて、皆が自由に意見を言えるのも面白い。昔は上に親方がいて縦に並んでいましたが、今はだんだんそれも薄れて来た。おじさんのことも大切にしてくれますしね(笑)。



『逃げきれた夢』二ノ宮隆太郎監督


Q:影響を受けた映画監督や映画作品を教えてください。


二ノ宮:沢山いますけど、ケン・ローチと成瀬巳喜男といつも答えてます。


光石:ダルデンヌじゃないの?


二ノ宮:ダルデンヌっぽいですかね(笑)?そうですね。好きです。


光石:僕は自分のデビュー作『博多っ子純情』(78)の監督の曽根中生ですね。曽根さんには最初にいろんなことを教えてもらいましたから。だからその恩も兼ねて曽根さんです。曽根さんの『スーパーGUNレディ ワニ分署』(79)という横山エミー主演の映画があるんですが、たぶん誰も知らないと思うんだけど、これがすっごく面白いんですよ。俳優としてはあんまり出たくはない映画ですけどね(笑)。




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光石研

1961年9月26日生まれ。福岡県出身。高校在学中に『博多っ子純情』(78)のオーディションを受け、主役に抜擢される。以後、冷徹なヤクザから良き父親役まで様々な役柄を演じ、映画やドラマ界では欠かせない存在として活躍。2016年には第37回ヨコハマ映画祭助演男優賞(映画『お盆の弟』(15)・『恋人たち』(15))、2019年には第15回コンフィデンスアワード・ドラマ賞 主演男優賞(「デザイナー 渋井直人の休日」(TX))を受賞。同年には出身地の北九州市より市民文化賞を受賞。近年の主な映画出演作は『青くて痛くて脆い』、『喜劇 愛妻物語』(20)、『バイプレーヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』『浜の朝日の嘘つきどもと』、『由宇子の天秤』、『マイ・ダディ』(21)、『おそ松さん』、『やがて海へと届く』、『メタモルフォーゼの縁側』、『異動辞令は音楽隊!』(22)、『波紋』がある。


監督・脚本:二ノ宮隆太郎

1986年8月18日生まれ。神奈川県出身。2012年、初の長編作品『魅力の人間』が第34回ぴあフィルムフェスティバルで準グランプリを受賞し、海外映画祭でも好評を博す。2017年、監督、主演を務めた長編第二作『枝葉のこと』が第70回ロカルノ国際映画祭の長編部門に日本映画から唯一選出される。2019年、長編第三作『お嬢ちゃん』が公開。同年、2019フィルメックス新人監督賞グランプリを受賞。2023年、商業デビュー作「逃げきれた夢」が第76回カンヌ国際映画祭でACID部門(インディペンデント映画普及協会賞)に出品される。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『逃げきれた夢』

全国公開中

配給:キノフィルムズ

©2022『逃げきれた夢』フィルムパートナーズ

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