あり得ないことは描きたくない
Q:これまでは、二ノ宮監督自身が出演されていたことも多かったですが、今回は年代が違う人が主人公です。
二ノ宮:年齢を重ねている方に対してはそれだけで尊敬してしまいます。今までは同年代の方たちの物語を中心に作ってきたので、今回は今までとはまた違う部分で考えたところはありました。
自分が書いた脚本を光石さんが汲み取っていただき、自分が求めていたことを表現してくださった喜びがありました。光石さんには、映像演出における見え方などの部分しかお話ししてなかったと思います。
Q:現場での二ノ宮監督はいかがでしたか。
光石:見ての通り彼は大真面目ですから、現場でも映画のことしか考えてなかったと思います。それくらい真摯に取り組んでいましたし、これまで一緒に組んできたスタッフたちが監督を支えていました。皆で相談しながらやっていて、とてもいいチームでしたね。
『逃げきれた夢』光石研(主人公 末永周平役)
Q:脚本を読まれて、光石さんご自身のエピソードだと分かるところはありましたか。
光石:もちろんありました。でもそれよりも、30代の人がよくぞ60代間近の人の話を書けたなと。どれも当たっているというか、、むしろバレてるなって感じでした。僕らが30代のときは、60代の人のことなんて思いもしなかったけど、今はこういう世の中だから色々バレちゃってんだなと(笑)。
Q:二ノ宮監督は年代の違う方のエピソードをどのように作っているのでしょうか。
二ノ宮:いろんな方に話を聞いて、それを生かしている部分はあります。この映画ではあり得ないことは絶対に描きたくなかったです。年齢は上ですが、些細な気持ちの変化などは共通するものがあるので自分に置き換えても考えています。
光石:周平が元教え子の南に町を案内して回るシーンがありますが、それは実際に監督と北九州に行って歩いて回ったものが反映されていると思います。でもだからといって、夫婦関係のエピソードなどは、結婚もしていないのになぜ書けたのか不明ですね。やっぱりバレちゃってるんですよね。たぶん夫婦ってこんなもんだろうって(笑)。