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『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

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試合の中で見えてくるボクサーの個性



Q:素晴らしいキャスト陣の中、横浜流星さんの対戦相手を決めるのが最も難航されたとのことですが、窪田正孝さんの決め手は何だったのでしょうか。


瀬々:今回は松浦慎一郎さんにボクシング指導をお願いしていますが、もともと窪田くんは松浦さんのところで個人指導を受けていました。たくさんの俳優が松浦さんのところでレッスンを受けている中、「誰がいちばん強い?」って聞いたんです。そうしたら妻夫木くんと窪田くんの名前が出て来た。そんな中、タイトルマッチを観に行った時に会場で偶然窪田くんと会ったんです。そこで本作に関する雑談をしたりして、徐々に懐柔していったと言いますか(笑)。その後、事務所を通して正式にオファーしました。



『春に散る』©2023映画『春に散る』製作委員会


Q:翔吾の対戦相手の大塚(坂東龍汰)、中西(窪田正孝)らは、他の登場人物に比べると描かれる時間は長くはありませんが、それぞれ印象に残ります。キャラクターはどのように作られたのでしょうか。


瀬々:昭和のボクシングと違い、今のチャンピオンは昔のやんちゃ上がりのような感じではない。窪田くんはそこを打ち出そうとしていました。窪田くんのクランクインは、広岡と出会う中華料理店でのシーンでしたが、脚本には中西のバックボーンなどは書かれておらず、手探りの状態で色んなタイプの芝居を試していました。その中で話し合いをしつつ、今のキャラクター像に決めていった感じです。そのときの撮影は時間が掛かりましたね。


一方、坂東くんはオーディションで決めました。会長の令子に一番好かれるタイプだと思ったんです。女性のオーナーが、この子を育てたいと思うタイプ。純粋無垢で染まってない感じが一番強かった。今風な青年の感じもよかったですね。


Q:二人とも翔吾との関係性が非常にわかりやすく、ある意味漫画のキャラクターのような設定でワクワクしました。


瀬々:そうですね。ボクシングってやっぱり試合が面白いので、何やかんや言っても試合の中でボクサーの個性が見えてくる。そしてドラマが築き上げられていく。それがボクシング映画の面白さなんです。松浦さんもそこをちゃんとやりたがっていました。特に横浜流星と松浦さんは初めてだったので、横浜流星がどういう人間なのかを見極めて、試合展開やスタイルを作っていました。それはやはり、試合がドラマであるという作り方ですよね。




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