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『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

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最終ラウンドは振り付け無し



Q:ボクシングシーンもしっかり時間をかけて描かれています。映画全体のバランス、構成はどのように決められたのでしょうか。


瀬々:脚本で流れは書いていましたが、それはあくまでも想定上のもの。脚本家の狙いを松浦さんが受け止めてくれて、細かい展開をつけてくれました。例えば大塚戦は、脚本段階だと1ラウンドからずっと書かれていたんです。でも尺的に1ラウンドから全て見せるのは無理だったので、カットで試合が中断したところから始めました。それは僕のアイデアでしたが、松浦さんも同意して調整してくれました。


Q:メインイベントの中西戦はかなり丁寧に描かれます。1ラウンドごとに何が起こるか書かれていたのでしょうか。


瀬々:脚本上は書いてましたね。それを松浦さんがリアリティを持ってアレンジしてくれました。流星と窪田くんも何度も練習して吹替無しで挑んでくれています。撮影で初めてやるのは無理なので、二人で何度も反復練習しています。要するに振り付けと同じですね。ただし、練習と試合ではリングサイズが全然違う。いわゆるボクシングジムのリングって実は小さいんです。試合のリングサイズになるとどうしても動きが変わってしまうので、そこは現場で修正しました。結局撮影は4日間かかりましたね。



『春に散る』©2023映画『春に散る』製作委員会


Q:最終ラウンドでは敢えて何も振り付けをしなかったと聞き、驚きました。


瀬々:そこは松浦さんのアイデアで、最後は単に打ち合いでいいからと、二人の自由演技でやってもらいました。あれだけやっているとお互いの間がわかっているようだったので、見ていてもそんなに危険じゃなかった。いわゆる攻防ではなく、高みに至った二人がただ我武者羅に打ち合うシーンだったので成立したのだと思います。


Q:ボクシングシーンのOKはどのように出したのでしょうか。


瀬々:ボクシングの試合として成立しているかどうか、当たっているように見えるかどうかが判断基準になりますが、試合している二人は本腰ですから、そこでのNGというのはないんです。もう気合入りまくりですから、表情がどうのこうのとかもない。試合の流れに則してやってもらえれば、それでOKなんです。




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