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『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

『春に散る』瀬々敬久監督 ドラマを生み出す試合シーン【Director’s Interview Vol.343】

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撮影で気になるのは俳優との距離感



Q:撮影の加藤航平氏、音楽の田中拓人氏など、今回は初タッグのスタッフが多いですが、お仕事されてみていかがでしたか。


瀬々:そこはプロデューサーの星野秀樹さんの意向が大きいですね。いつもの流儀ではない新しいメンバーでやりたいとのことでした。(佐藤)浩市さんと流星じゃありませんが、老いと若さみたいなテーマもありますし、そういう意味では新しい人たちと組むのは良かったですね。加藤さんは私と比べるとぐっと若いですから、いい化学反応もあったと思います。人物に対してのカメラの距離感など「こう撮るのか」と新鮮でした。


Q:監督の好みの画みたいなものはありますか? それはカメラマンに伝えるのか、それともお任せする感じですか?


瀬々:撮影で気になるのは俳優との距離感なんです。カメラがどこから見ているのか、人物に近付く時と遠くから見たい時と、芝居の内容によって違ってくる。近づいてワイドで撮るのか、遠くから望遠で撮るのか、そこだけは気になりますが、画角はそんなに気になりません。人の芝居をどの距離で撮るのかがすごく気になるんです。寄り添って近くで撮るほど、俳優さんの生な感じがぐっと出てくる。一方で遠くから撮ると客観的になってくる。その見え方は観客にも確実に伝わる。その場の雰囲気や流れている空気をどう捉えるか、それがカメラの距離に関係してくるんです。



『春に散る』©2023映画『春に散る』製作委員会


Q:瀬々監督は昔から多作ですが、近年でもそのペースは変わらない印象があります。


瀬々:ペースは特に決めていません。実は今年は撮影が1本も無いんです。そういう年もあるので、別に決めているわけではありません。企画が来た順にやろうとはしているんですけどね。うまく合わない時もあるんです。


Q:影響を受けた好きな映画や監督を教えて下さい。


瀬々:沢木さんの本を読んだのは10代後半でしたが、その頃に観て一番ショックだったのは、長谷川和彦監督の『青春の殺人者』(76)です。やっぱり日本映画はすごいと思いましたし、新しい映画だなと感じました。10代の頃に観た映画が、一番影響力がありますね。




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監督:瀬々敬久

1960年生まれ、大分県出身。京都大学在学中から自主映画を製作。『課外授業 暴行』(89)でデビュー後、劇場映画からドキュメンタリー、テレビなど様々な作品を手掛ける。『ヘヴンズ ストーリー』(10)では、ベルリン国際映画祭の批評家連盟賞とNETPAC(最優秀アジア映画)賞を受賞。『アントキノイノチ』(11)では、モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門イノベーションアワードを受賞した。『64‐ロクヨン‐』2部作(16)では、前編で日本アカデミー賞優秀監督賞受賞。その後も、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(17)、『友罪』(18)、『楽園』(19)、『糸』(20)、『護られなかった者たちへ』(21)、『とんび』『ラーゲリより愛を込めて』(22)など話題作を連発している。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『春に散る』

8月25日公開 配給:ギャガ

©2023映画『春に散る』製作委員会

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