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『ロスト・キング 500年越しの運命』スティーヴン・フリアーズ監督 自分の意見を貫く大切さ【Director’s Interview Vol.356】

© PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.

『ロスト・キング 500年越しの運命』スティーヴン・フリアーズ監督 自分の意見を貫く大切さ【Director’s Interview Vol.356】

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2012年、500年以上にわたり行方不明だったリチャード三世の遺骨が、英国レスターのとある駐車場から発掘された。その調査の指揮を執ったのは、何とアマチュア歴史家の主婦だった…。そんな驚きの実話を、名匠スティーヴン・フリアーズ監督がサリー・ホーキンスを主演に迎え映画化。それが『ロスト・キング 500年越しの運命』だ。


アカデミー賞常連監督であり、『クィーン』(06)や『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(17)など、過去にも英国王室にまつわる映画を手掛けてきたスティーヴン・フリアーズは、本作をいかにして作り上げたのか? 話を伺った。



『ロスト・キング 500年越しの運命』あらすじ

フィリッパ・ラングレーは、職場で上司に理不尽な評価を受けるも、別居中の夫からは生活費の為に仕事を続けるよう促され、苦悩の日々を過ごしていた。ある日、息子の付き添いで舞台「リチャード三世」を観劇したことで、彼女の人生は一変。シェイクスピアの史劇により、冷酷非情な王として名高いリチャード三世だが、その既成事実に疑問を抱くように。やがて、フィリッパは彼の真の姿を明かそうと、遺骨探しに没頭していく――。


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映画によってバレた嘘



Q:本作は実話を元にしていますが、この物語のどこに惹かれましたか?


フリアーズ:私自身レスター出身ということもあり、発掘されたときのことはよく覚えています。英国王が駐車場の下に埋められているなんて、ちょっと馬鹿げていて面白い話だなと。その後、スティーヴ・クーガンとジェフ・ポープがこの脚本を書いていると聞いた時は、彼らのことだからコミカルに書くだろうと思っていました。実際に読んだ脚本は予想通りで、とても面白かった。ストーリーにも惹かれ、監督を引き受けることにしました。


Q:一人戦い続けるフィリッパですが、息子や別居中の夫など家族が味方であり続けるのがとても印象的でした。


フリアーズ:フィリッパがやろうとしたことはとてもエキセントリック、家族がそれを支えるのは当然のことです。実際、10年以上経った今でも彼らは同じように暮らしていて、友達のような関係だそうです。家族は彼女の人生の一部、それを外す選択肢はありませんでしたね。もちろん私自身も、映画を撮っている間に家族への思いが消えたりするわけではありません。家族の問題は離れられないものだし、だからこそ仕事と家庭と二つのことを同時にやらなければならない。人生においては難しいことですが…。



『ロスト・キング 500年越しの運命』© PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.


Q:本作は体制や男性社会に対する戦いの物語でもありますが、その勝敗の結果を単純化しないところがとても良かったです。そこはどれくらい事実に基づいているのでしょうか。


フリアーズ:基本的には事実に基づいています。映画で描いた通り、発掘直後の大学側は自分たちが掘り当てたと主張していました。「リチャード三世を発掘した!」とバスに大きく広告を出したり、発掘費用は全て自分たちが捻出したと嘘までついていたんです。ただ、ここ数年は態度を変えており、「自分たちが発掘したのではなく、発掘に参加した」と言うようになっています。この映画を観たかどうかはわかりませんが、この映画によってその嘘がバレたことは良かったかもしれませんね。





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