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『死霊館のシスター 呪いの秘密』マイケル・チャベス監督 そこに悪魔がいなくても、いるように思えるホラー演出の美学【Director’s Interview Vol.363】
戦う女性のドラマを追求する
Q:親に放置されたという主人公シスター・アイリーンの過去が今回のドラマでは効いていました。彼女の過去をどのように掘り下げたのでしょう?
チャベス:前作のちょっとしたセリフが元になっています。母親のようになることを心配した父親が、アイリーンを教会に行かせた……というもので、母親がもしかしたら何か才能を持っているようなことを窺わせる内容でした。興味をかき立てられましたね。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)が、『スター・ウォーズ』の短いセリフから生まれたように、僕もそこから想像を広げました。また、シスター・アイリーンのキャラクターも、演じるタイッサ・ファーミガの演技を見るのが大好きなので、この広がりにはワクワクしました。現にタイッサは、アイリーンの過去を演技を通してみごとに感情に乗せてくれたと思います。
『死霊館のシスター 呪いの秘密』© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
Q:タイッサ・ファーミガの女優としての凄みについて教えてください。
チャベス:タイッサは多様な作品に出演しているけど、ホラーへの出演が目立つため、“スクリーム・クィーン”と呼ばれたりしていますが、そんな言葉ではとても収まらない才能に溢れた役者だと思います。彼女の姉ヴェラ・ファーミガとは『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』で一緒に仕事をしましたが、タイッサも姉と同じ深みを持っています。現場での彼女は、一気に役に入れる、そこが凄いですね。スタッフとふざけ合っていても、いざ撮影となると30秒ほどで自分のゾーンに入れるんです。感情をどこからかチャネリングしていて、時には悪い言葉を使ったりして気持ちを高めていく。血が沸騰しそうになる様が見ていてわかるんです。そして「アクション!」の声をかけると一気にシーンに入る。30秒で別人に豹変するんです。まるで沸騰寸前のお湯のように、スーパー・チャージされた状態でシーンに入るんです。そんな強烈さが凄いと思うし、見ていて楽しい演技のプロセスです。
Q:これまでの監督の作品は戦う女性のドラマが多いですが、それはどこからきているのですか?
チャベス:僕はあらゆるタイプの強いヒーローが大好きだし、強い女性のヒーローも大好きです。母はシングルマザーとして僕を育ててくれたのですが、僕の人生において、とにかく強く、パワフルな存在で、人に頼らないところが大好きです。そんな母に一部影響を受けていると思いますし、同時に妻にも影響されていると思います。彼女もとても強いですね。娘も、悪魔と戦える強いヒーローにすべく育てているところです(笑)
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監督:マイケル・チャベス
世界興行収入1億2300万ドル超をあげたニューライン・シネマ作品『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(19)で長編映画監督デビューを飾った。そののち、アトミック・モンスター/サフラン・カンパニーが製作した『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(21)を監督。この作品は、世界中で20億ドルに達する興収をたたき出した史上最大のホラーシリーズ「死霊館」ユニバース(13,14,16,17,18,19,21)の8作目の作品である。また、賞受賞短編映画『The Maiden』(16)の監督も務めている。熟練のコマーシャル監督として、マイクロソフト、サムスン、アウディ、フォードといったクライアントのスポットを監督してきた。また、ビリー・アイリッシュのミュージックビデオ「Bury A Friend」の監督も務めている。
取材・文:相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
『死霊館のシスター 呪いの秘密』
絶賛公開中
配給:ワーナー・ブラザース映画
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