SONYのFX3 × KOWAのアナモフィックレンズ
Q:一般の映画撮影用カメラと比べかなり軽量で安価な、FX3(SONY)というカメラで本作を撮られたそうですが、素晴らしいクオリティに驚きました。このカメラを使った理由を教えてください。
エドワーズ: FX3はどんな暗いところでも撮影出来て、月さえも撮れてしまう。いわゆる映画用の大掛かりなライティングが必要がないんです。録音用のブームマイクのように簡単な照明を持って動き回れるので、監督と役者が動きながらドキュメンタリーのように撮っていける。すごく自由な撮影ができるカメラでした。そういった最新テクノロジーを使っている一方で、レンズは1970年代のヴィンテージを使いました。KOWAのアナモフィックレンズです。このレンズのおかげで、大好きな70〜80年代の映画の雰囲気が出ていると思います。
またKOWAのアナモフィックレンズを使うと、ビスタサイズより2倍長くなるので、撮影された素材は厳密には1:3.5なんです。でも配給会社から「そんなワイドなものは公開できない」と言われてしまった(笑)。それで、今まで公開された一番ワイドな作品である『ベン・ハー』(59)や『ヘイトフル・エイト』(15)と同じ1:2.76にしました。今回はできるだけ大きなスクリーンで観てもらいたいですね。
『ザ・クリエイター/創造者』© 2023 20th Century Studios
Q:旋回する飛行機や一列に並んだ兵士など『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)を思い出させるようなショットも登場します。今回の監督のお気に入りのショットはありますか?
エドワーズ:今回のお気に入りは、ドキュメンタリーのような雰囲気があるシーンです。例えば、ヒマラヤの山奥やカンボジアの水上の村で、老人と子供が遊んでいる画をドキュメンタリータッチで撮影してきて、後から特殊効果でAIロボットの型を老人や子供に上書きしました。それがなぜかとてもリアルに感じられるものになった。通常のハリウッド大作ではやらないようなことが出来たので、そのシーンが一番好きですね。