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「THU JAPAN 2023」カイル・バルダ 自分自身に忠実であること 【CINEMORE ACADEMY Vol.26】

「THU JAPAN 2023」カイル・バルダ 自分自身に忠実であること 【CINEMORE ACADEMY Vol.26】

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2023年9⽉20⽇(⽔)〜23⽇(⼟)に⽯川県加賀市にて開催された、⽇本初上陸のクリエイティブ・リトリート*イベント「THU JAPAN 2023 (#THUJAPAN)」。映画監督や脚本家、クリエイティブディレクター、編集者、イラストレーター など、世界で最も⾰新的で影響⼒のあるストーリーテラーたちがSENSEI(講師)として集結。ユニークで実践的なセミナーやワークショップが行われました。


CINEMORE編集部は実際に現地に赴きリトリートを体験。SENSEIのみならず、アニメーターやCGアーティスト、俳優やイラストレーターなど、世界21の国と地域から集まった約200名のクリエイターたちと共に、4日間に渡ったセミナーやワークショップ、パーティに参加してきました。「NO VIP」というコンセプトのもと、参加者と講師の壁、言語の壁を超え、多くのクリエイターと言葉を交わし、時にはお酒を交え、たくさん交流できたことは何物にも代えがたい素晴らしい体験でした。


*:リトリートとは:住み慣れた⼟地を数⽇間離れて、仕事や⼈間関係で疲れた⼼や体を癒す過ごし⽅のこと。観光が⽬的の旅⾏とは違い、⽇常を忘れてリフレッシュすることを⽬的とする。欧⽶で流⾏している新しい旅や合宿のスタイル。


THU JAPAN 2023開催の様子


開催期間中は、数多くいるSENSEIの中から、特に映画に馴染みの深い4名に単独インタビューを実施。『インセキュア』の脚本家、監督、エグゼクティブ・プロデューサーのエイミー・アニオビ氏、『パーフェクトブルー』の脚本家村井さだゆき氏、『PLAN 75』の早川千絵監督、そしてバフタ賞にノミネートされた⻑編アニメーション監督のカイル・バルダ氏から話を伺いました。それぞれのインタビューを連載形式でお届けします。第二弾はカイル・バルダ監督から! お楽しみください。





カイル・バルダ

イルミネーション・エンターテインメントとピクサー・アニメーション・スタジオを中⼼に30年にわたりアニメーション業界で活躍し、バフタ賞にノミネートされた⻑編アニメーション監督。ピクサーでは『バグズ・ライフ』、『モンスターズ・インク』を⼿がけ、『トイ・ストーリー2』ではアニメーション監督を務めた。『The Lorax』、『ミニオンズ』、『Despicable Me 3』、『ミニオンズ』、『ミニオンズフィーバー』の共同監督も務める。


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「ストーリーテリング」は最も情熱を注いでいるテーマ



Q:THU JAPAN 2023に参加してみていかがですか?「ストーリーテリング」というテーマについての感想も教えてください。


バルダ:THUはずっと知っていて、今回やっとスケジュールが合ったので初めて参加しました。「ストーリーテリング」は自分の中で最も情熱を注いでいるテーマなんです。今までスケジュールが合わなくて逆に良かったかも(笑)。


Q:セミナーでの「完璧よりも完成した方がよい」というカイルさんの言葉に納得しました。同じくセミナーで見せていただいたカイルさんの学生時のアニメーション作品は着色されておらず、線もまだワイヤーフレームのようなものでしたが、面白さは十分伝わってきましたし、そのクオリティも素晴らしかった。悩むよりもまず一歩踏み出した方が良いということでしょうか?


バルダ:そうですね。でも正直言うと、当時作った尺だと退屈するかなと思って、今回皆さんに見せるために再編集したんです。30年前に作ったときと違って、今だと色んなことが見えてくる。不要なカットも多かったし、もっと短くできるなと。学びや発展に終わりはないし、作品にも完全な形というものはない。まずは一歩踏み出して作ってみることが大事だと思います。




Q:「良いアイデアが浮かぶまでこの部屋から出ないと決めた場合、そのまま骸骨になってしまうよ(死んでしまうよ)」という話も面白かったです。


バルダ:散歩に行くと頭が整理されると言う人もいますし、人それぞれのやり方があると思います。また、複数のプロジェクトを抱えていると、一つのプロジェクトで壁にぶち当たっても、別のプロジェクトに逃げられる。そうやって行き来できるのは良いですよね。


Q:ジョーゼフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」を取り上げていたのも印象的でした。ジョージ・ルーカスに影響を与えた本として有名ですが、どんなところがおすすめですか。


バルダ:この本では、異なる文化の様々なヒーローやキャラクターたちが実は同じ心理状態にあるということや、人間らしさとは何かについて書かれています。脚本家や映像クリエイターだけに向けて書かれたものではありませんが、人生を深く理解しようと好奇心を持っている人ならどなたでもおすすめです。本から得たものをアートに変えるのか、人生の本として読むのか、様々な用途で読めると思います。





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