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『美しき仕事 4Kレストア版』クレール・ドゥニ監督 風景と肉体を一つに捉える【Director’s Interview Vol.405】

『美しき仕事 4Kレストア版』クレール・ドゥニ監督 風景と肉体を一つに捉える【Director’s Interview Vol.405】

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大好きな大島渚監督作品



Q:過去の作品が4Kリマスターで蘇り、観客の前に再びその姿を表すことは、生みの親としてどんな思いがありますか。


ドゥニ:私の中では私と共にずっとあった作品なので、特別な思いなどはなかったのですが、ただ2年前にミシェル・シュポールが亡くなったこともあり、彼に対する思いというものがこの映画と共にある気がしました。彼が亡くなったときに『美しき仕事』の一部が死んでしまったような、そんな気持ちになりました。


撮影した当時と今とでは、一言で言えば「戦争」が大きな違いとしてあると思います。イラクやアフガニスタンでも戦争があり、今はイスラエルやパレスチナ、イエメンそして紅海の方でも戦争が起きている。私が撮影した当時はそういうことは一切ありませんでした。24年という時間は映画にとってどんな意味があるのでしょうね。



『美しき仕事 4Kレストア版』© LA SEPT ARTE – TANAIS COM – SM FILMS – 1998


Q:作品はとても美しく、どこか『戦場のメリークリスマス』(83)を思い出しました。意識されたところはありますか。


ドゥニ:大島渚監督の作品は大好きです。デヴィッド・ボウイを最も上手に撮ったのは、『戦場のメリークリスマス』の大島監督だったのでないでしょうか。あの作品も、軍隊の中に何か得体の知れないものがある物語でしたが、男だけの世界に何か秘密があるという部分では、確かに『美しき仕事』に通じるものがあったかもしれません。大島監督は欲望の暴力というものを描いた人だと思いますね。それが男と男であっても、男と女であってもね。





監督:クレール・ドゥニ

1946年4月21日、パリ生まれ。植民地行政官の娘としてカメルーンやソマリア、ジブチなどアフリカ諸国で少女時代を過ごす。フランスに帰国後、教師の影響から映画に目覚め、とりわけ日本映画に傾倒した。仏の映画学校IDHECで学んだ後、ロベール・アンリコ、ジャック・リヴェット、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュらの助監督を務める。ヴェンダースらの勧めによって映画監督の道に進むことを決意、短編映画からキャリアをスタートさせ、1988年にヴェンダースのプロデュースで自身のカメルーンで過ごした少女時代を題材にした『ショコラ』で監督デビュー、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選ばれるなど大きな注目を集めた。その後、『ネネットとボニ』(96)でロカルノ国際映画祭金豹賞、『Stars at Noon(原題)』(22)でカンヌ国際映画祭グランプリ、『愛と激しさをもって』(22)でベルリン国際映画祭最優秀監督賞(銀熊賞)を受賞するなど世界的に知られる映画監督となる。『美しき仕事』(99)は、ロッテルダム国際映画祭KNF賞など多数の賞を受賞し、『ムーンライト』(16)で知られるバリー・ジェンキンス監督も影響を受けた作品として挙げるなど、海外の映画ファンの間でカルト的人気を誇る作品である。その他の代表作に『パリ、18区、夜。』(94)、近年の作品に『ハイ・ライフ』(18)などがある。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『美しき仕事 4Kレストア版』

5月31日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー

配給:Gucchi’s Free School 協力:JAIHO

© LA SEPT ARTE – TANAIS COM – SM FILMS – 1998

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