現場で全く悩まなかった24歳の新人監督のビジョンとは?二宮健監督『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』【Director’s Interview Vol.4】
撮影時若干24歳の監督・二宮健は、中学時代から40本以上の自主映画を作りつづけ、『SLUM-POLIS』(15)、『MATSUMOTO TRIBE』(17)など、発表される作品が立て続けに注目を浴び、『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ』で満を持しての商業映画デビューに至る。
若くして華々しい監督デビューを飾った二宮健監督に、今回話を聞いた。
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複雑な時間軸の組み立て方
Q:今回の作品の構造はスポットライト理論*に基づいているということで、虚実入り乱れ、時間の構造もかなり複雑になっています。結構緻密な計算が必要かと思いましたが、脚本はどうやって組み立てたのでしょうか。
*スポットライト理論:「時間は流れておらず、過去も現在も未来もすべて同じ空間の中で同時に存在している」という考え方。
二宮:確かに脚本は結構時間がかかったんですけど、でもそのパズル感(構造)って、主人公のオリアアキの感情に全部基づいているので、実はそれほど複雑ではなかったです。逆に言うと、現実世界の概念を全て払拭し、彼女の気持ち(妄想)を基本にしたので、全てのことで変幻自在になれるっていう意味では、意外とやりやすかったですね。
Q:これは現実、これは妄想、と整理はされたのでしょうか。映画を観てても、どこからが現実で、どこからが妄想なのか、その線引きはあまり感じませんでした。
二宮:映画を観ている人が、現実とか妄想とか過去とか、そんな区別もうどうでもいいやっていうテンションになって、映画に熱中してもらえることが、僕がこの映画を作る上のミッションでした。なので、そのテンションの上げ方みたいなのものは、結構意識したかもしれません。
Q:最初から最後まで同じテンションのまま、全編駆け抜けた感じがします。細かいカッティングもたくさんあって編集もかなり大変だったかと思いますが、これも脚本通りなのでしょうか。
二宮:はい。編集は全部脚本通りです。
Q:編集もご自分で?
二宮:はい。自分でやってます。実は編集は、なぜかすぐ終わっちゃったんですよね。
Q:そうなんですか!?相当な時間がかかってるかと思いました。
二宮:いや、本当に2週間ぐらいで終わりました。