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『辰巳』小路紘史監督 自主制作の自由度がもたらすものとは【Director’s Interview Vol.424】

『辰巳』小路紘史監督 自主制作の自由度がもたらすものとは【Director’s Interview Vol.424】

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事前リハーサルの意義



Q:さまざまな映画を想起させるような、画角やカメラワークへのこだわりが感じられます。撮影にあたり画コンテなどは用意されたのでしょうか。


小路:画コンテを描いて臨んだのですが、撮影に入ったら画コンテ通りにはいかないところも出てくる。基本は自分の安心のために描いたのですが、完成した作品とは合致していません。カット割り自体、あってないような感じでしたね。


Q:撮影監督の山本さんは従兄弟ということもあって、共通認識や安心感はあったのでしょうか。


小路:そうですね。小学校の頃から一緒にずっと映画の話をしていて、好きな映画も共通している。「デヴィッド・フィンチャー監督の、この映画の、このカット」と言ったら、それに合わせて撮ってくれる。細かいことを言わなくても作品自体が共通言語だったりするので、そこが画作りのポイントだったと思います。


Q:役者陣の熱い演技も印象的ですが、撮影前にリハーサルは行われたのでしょうか。


小路:リハーサルは2週間ぐらいかけてやりました。皆で集まり、どのシーンもやらせてもらったのですが、それが成功したかどうかはちょっと謎ですね。ただ、作品について皆で話し合う場を持てたことはすごく良かった。どういう温度感でやるのか、どういう人間関係なのか、そういうことは絶対に話しておいた方が良い。共通認識を持つ場があったことがリハーサルの良い点でした。役者が一度演じてみて、それを見てフィードバックする。それが作品について話し合うことに繋がりましたね。



『辰巳』©小路紘史


Q:アドリブは一切無く、セリフは全て脚本通りと聞きました。


小路:ほぼ脚本通りでアドリブはなかったかもしれません。みんな「脚本に忠実に」という意識が強かったのだと思います。この脚本を信頼してくれて、それを信じてやってくれました。


Q:役者さんから質問などはありましたか。


小路:ポスターにもなっているシーンで、遠藤さん(辰巳)が、想ちゃん(葵)の髪を掴んで「だからお前はクズなんだ」というセリフがあるのですが、遠藤さんから「これはストーリーとしてはどういうことなんだ?」「なぜ葵にこのセリフを言うのか?」と、オーディションの時からずっと質問されていました。その一言のセリフについて遠藤さんと10時間ぐらい話し合った記憶があります。そこでは、「辰巳としてこのセリフを言う理由って何でしょうか?」と逆に遠藤さんに質問していました。それで遠藤さんが「こういうことなんじゃないか」と答えてくれて、「じゃあ、それで試してみましょう」となった。これは、辰巳である遠藤さんにしか答えが出せないと思ったんです。





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