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『画家ボナール ピエールとマルト』ヴァンサン・マケーニュ 監督のビジョンに身を捧げる【Actor’s Interview Vol.43】

©2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk

『画家ボナール ピエールとマルト』ヴァンサン・マケーニュ 監督のビジョンに身を捧げる【Actor’s Interview Vol.43】

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年月を経てこそ作られる絆



Q:ボナールはボヘミアンで実際に何人か愛人がいたそうですが、この映画ではルネという若い娘とマルトとの三角関係が描かれています。しかし、いろいろありつつも、ボナールは病気になったマルトの面倒を見て、彼女に最後まで添い遂げる。彼らの関係をどう思われますか。


マケーニュ:解釈は観る人に依ると思いますが、わたしがこの映画で美しいと感じる点は、ふたりの長年にわたる恋愛関係を描いていることです。それがドラマツルギーを形作っている。彼らは一緒に生きることを決め、相手を許して受け入れることを選んだ。ボナールの生きたボヘミアンな時代に、誰かと添い遂げることを選ぶというのは、かなり珍しいことだと思います。ふたりのあいだに、年月とともに作られるものがある。それは何かとても美しく、力強いものだと思う。誰かと一緒に長く暮らすということは、忍耐力や許容力を必要とする。ボナールの場合はそのあいだに不実もあった。でも彼らの間には何かもっと強いものがあったのだと思います。



『画家ボナール ピエールとマルト』©2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk


Q:あなたにとって、本作の経験でもっとも心を動かされたことは何ですか。


マケーニュ:脚本を読んで、エモーショナルな物語だと感じたのですが、そのあとマルタンと一緒にマルト役のセシル・ドゥ・フランスに初めて会ったとき、そのエモーションを再び感じました。これはささやかな伝記映画かもしれないけれど、同時にものすごくエモーショナルなものになるだろうと思った。日本映画にもそういう作品がありますよね? 小さな話だけれど、とても感動させられるような。本作では大きな時間の流れを描いているがゆえに、彼らの人生時々の出来事を目撃しつつ、映画が進むに連れ、それがノスタルジーになっていく。わたしは終盤のふたりのシーンで、どうしようもない悲しさを感じて心を動かされました。ふたりの長い人生はなんだったのか、と。


Q:日本映画はお好きですか。


マケーニュ:詳しいわけではないですが、小津安二郎がオナラに夢中の子供たちを描いた『お早よう』(59)を最近たまたま観て、すごく面白かったです。




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