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『画家ボナール ピエールとマルト』ヴァンサン・マケーニュ 監督のビジョンに身を捧げる【Actor’s Interview Vol.43】

©2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk

『画家ボナール ピエールとマルト』ヴァンサン・マケーニュ 監督のビジョンに身を捧げる【Actor’s Interview Vol.43】

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道を見失った犬のような世代



Q:日本では、マケーニュさんの映画といえばこれまで『女っ気なし』『やさしい人』『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』といった作品が公開されているがゆえに、普通の人が共感できる、内気であまりうだつの上がらない青年というイメージがあるのですが、ご本人はこうした役に愛着がありますか。


マケーニュ:そうですね、彼らに共通するのはシャイで不器用で、迷いや疑いを持っていること。そこに心を動かされます。僕自身は迷いや疑いを持つことが、必ずしも人生をしくじる動機とは考えていません。むしろ疑いを持つのは良いことだと思う。


ただ年齢的に、偶然そういう役柄が続いたということも言えます。というのも、僕の世代はちょっと忘れられたジェネレーションというか、自分たちより前が恵まれた世代で、後になるともっと状況が悪化して議論が生まれた。でも僕らはそのちょうど狭間で、“道を見失った犬”のようなところがあると思います。



『画家ボナール ピエールとマルト』©2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk


Q:それゆえ、あなたがそんな世代のイコンになったのでしょうか。


マケーニュ:イコンかどうかはわかりませんが(笑)、僕らはみんな信念を持って、映画業界の辺境でナイーブに自分のやりたいことをやりたい方法で追求していた。純粋さと軽さがあって、そこが良かった。ベベデールやブラック、『ソルフェリーノの戦い』(13)のジュスティーヌ・トリエなど。僕自身もすでに演出家の仕事が軌道に乗っていたので、映画でお金を稼ごうとは思っていなかった。むしろ友だち仲間で、みんなで一緒にやっていく感じが好きだったのです。ただ、いまは彼らもみんなフランス映画界を担う存在になっています。




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ヴァンサン・マケーニュ

1978年、パリ出身。フランス国立高等演劇学校を卒業後、俳優業に加え映画監督や舞台演出家としても活躍。2013年開催の第66回カンヌ国際映画祭で 『ソルフェリーノの戦い』『7月14日の娘』『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』3本の出演作品が上映され、2014年ミア・ハンセン=ラヴ監督の 『EDEN/エデン』 、16年『夜明けの祈り』(アンヌ・フォンテーヌ監督)、17年『最強のふたり』で知られるエリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュの監督コンビによる『セラヴィ!』に出演と、数々のヒット作を牽引。今や名実ともにフランスを代表する俳優のひとり。



取材・文:佐藤久理子

パリ在住、ジャーナリスト、批評家。国際映画祭のリポート、映画人のインタビューをメディアに執筆。著書に『映画で歩くパリ』。フランス映画祭の作品選定アドバイザーを務める。





『画家ボナール ピエールとマルト』

シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺ほか全国順次上映中

配給:オンリー・ハーツ

©2023-Les Films du Kiosque-France 3 Cinéma-Umedia-Volapuk

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