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『悪魔と夜ふかし』コリン・ケアンズ&キャメロン・ケアンズ監督 こだわった70年代の世界観【Director’s Interview Vol.439】

©2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED

『悪魔と夜ふかし』コリン・ケアンズ&キャメロン・ケアンズ監督 こだわった70年代の世界観【Director’s Interview Vol.439】

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デヴィッド・ダストマルチャン、驚きのアドリブ



Q:デヴィッド・ダストマルチャン演じるジャック・デルロイの司会っぷりが見事でした。彼のセリフや仕草などディテールは、どの程度まで脚本に書いていたのでしょうか。


コリン:脚本でも色々とセリフを書きましたが、アドリブが結構入っています。特に番組レギュラーのガスとのやりとりはアドリブが多いですね。アドリブが出てくるというのは、それだけ役者がシーンや役にフィットしているということ。クランクイン直後の数日は、あえて楽しい撮影で固めました。番組の初回放送シーンなどから撮っていったのですが、そうすることにより撮影2〜3日目には皆が自分のキャラクターを見つけてくれましたね。


また、デヴィッドの場合は、持続した緊張感も見事に表現してくれました。“緊張感”を具体的に脚本で書くのは難しいのですが、完成した映画をよく観てもらうと、デヴィッドがシャツのボタンを外したりはめたりと何度も繰り返していることが分かります。そういった細かいディテールで、うまく緊張感を表現してくれました。僕らも3〜4回観て初めて気づくくらいの細かいことをやってくれましたね。


キャメロン:デヴィッドはアクセントも細かく調整してくれて、シカゴ独特のアクセントをセリフに反映してくれました。おかげで僕らもシカゴ地域のアクセントを覚えちゃいましたね。



『悪魔と夜ふかし』©2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED


Q:超常現象懐疑論者のカーマイケル・ヘイグの存在が効いていました。普通のホラー映画ではすぐに死んで退場するようなキャラクターですが、この物語ではかなりの重要人物になっています。


キャメロン:この映画には主役に対するヴィランがいませんが、その役割をカーマイケルがうまく担ってくれました。カーマイケルのモデルになったのは、70〜80年代に登場した元マジシャンのジェームズ・ランディで、実際にスプーン曲げなどのマジックを暴いている方でした。本作の番組のモデルになった、オーストラリアのトークショー「ドン・レーン・ショー」にも登場していて、スプーン曲げや超常現象を信じ込んでいた当時のオーストラリア国民を覚醒させようとしていました。


コリン:劇中での彼の扱いをみると信じられないかもしれませんが、僕らは彼に対してすごく愛着があるんです。映画の中では良い立ち位置で機能してくれたと思います。


Q:この映画では全てを解明するわけではなく、観客の解釈に委ねる余地を残します。そこに意図するものはありますか。


コリン:映画を観た人の会話のきっかけになればと思っていました。映画を観た帰りにお酒を飲みながらでもいいし、SNS上でのやりとりでもいい、思わず話したくなるような作品になって欲しいなと。実際にそうなったことはとても嬉しいですね。そうやって話したくなるようにするためには、やはりミステリーの部分が重要になってくる。ミステリーの原点へ辿って戻れるような、パン屑みたいなものをまいておく必要があるんです。ある程度は手掛かりがないと、観客も解釈しづらい。その辺は意識していましたね。




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