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スター・ウォーズ in コンサート Japan Tour 2018 - Report【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.7】

スター・ウォーズ in コンサート Japan Tour 2018 - Report【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.7】

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改めてわかるSW音楽の存在感





 音楽によって語られるストーリー。しかし、常に曲が流れているわけではない。スクリーンの前でオーケストラが演奏することによって改めてわかるのは、なにも音楽が流れていないシーンが多々あることだ。特に印象的なのはEP5を象徴する名曲、ダース・ベイダーのテーマ曲として有名な「The Imperial March」が流れるまで、しばらくずっと音楽が無いところ。


 氷の惑星ホスの雪原から救出されて治療を受けたルーク・スカイウォーカーの前でハン・ソロとレイア姫が口論を始めるところから、帝国軍の探査ドロイドが反乱同盟軍の隠れる秘密基地を見つけて自爆し、基地が帝国軍に見つかったとわかるところまで。およそ3分、音楽は無い。反乱軍の将軍が脱出の準備を始めるよう命じるのとともに場面は宇宙空間に切り替わり、巨大なスター・デストロイヤーの一部分がスクリーンを覆い、例の威圧的なマーチが始まる。


 直前まで音楽が無かったからこそ、曲のインパクトや力強さが際立つのだが、オーケストラが演奏をせずに待機しているという様子を直に目にすることで、このシーンではなにも流れていないということを改めて実感する。登場人物たちの会話や効果音のみが淡々と続いたあと、スター・デストロイヤーの尖った船首とともに「The Imperial March」がそれまでの静寂を突き破る。ただでさえかっこいいこの曲を、ここまでかっこよく感じたのは初めてだ。


 EP5のもうひとつのテーマ曲、ハンとレイアのロマンスを奏でる「Han Solo and the Princess」もまたしばらく静寂が続いたあとに流れ出す。帝国軍の追跡から一時的に逃れたミレニアム・ファルコンの船内には、まだ油断できないという緊張感が残っているが、その中で静かに流れ出すふたりのテーマは優しくロマンチックだ。テーマが高潮に達したところでふたりはキスしかけるが、例によって空気を読まないC-3POが邪魔をしてその場は流れる。そこからメロディはかなり乱暴な調子の「The Imperial March」のフレーズに切り替わり、場面は追跡側のスター・デストロイヤーになる。この強弱のつけかたも物語を生き生きとさせている。


 音楽が流れているシーンと流れていないシーン、静かで優しげな曲と大きく力強い曲、というようにしっかりメリハリが作られていることも、生演奏を聴くと改めてよくわかる。そして、なにも曲が流れていないシーンが映画の一部であるように、なにも演奏されていない静寂の時間もまたコンサートの一部だった。



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