愛すべきクソ映画たちへの鎮魂
上田:僕はよく中学校の頃とかに、つじつまは合ってないけど勢いだけはあるクソみたいなホラー映画とか、Z級映画みたいなのをよく見ていたんですが、最初の37分のクオリティを高くしなかったのは、そういう愛すべきクソ映画たちを救えるかもって思ってたのかもしれない。あんなクソみたいな映画たちが、今見たらすごく泣けて見れるかもしれないと。エド・ウッドとかが作っているような、情熱はあるけど、もう才能もテクニックもないような映画(笑)。
Q:才能もテクニックもない(笑)。
上田:でも舞台裏では、こんなにいいものを作ろうと思ってやっていた人たちがいるって思えば、「この1本の映画が、幾千もの日の目を見なかったクソ映画を救うことができるのかも」っていうのはどっかで思っていたかもしれません。
Q:情熱はあるけど、はからずもクソ映画を作ってしまった映画人への鎮魂ですね。
上田:一回、エンディングに「全ての舞台裏に捧げる」っていう字幕をつけたことがあったんですけど、書いちゃうと押し付けがましくなるなと思って消しました。