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『MaXXXine マキシーン』特殊造形アーティスト:吉沢コーダイ ハリウッドのワークスタイルとは【CINEMORE ACADEMY vol.39】
メリハリがはっきりしたワークスタイル
Q:ハリウッドでのワークスタイルについて教えてください。
吉沢:勤務しているスタジオの時間はフレキシブルで、早い人は朝の5時〜6時から来て作業しています。僕は朝8時から夕方5時まで仕事をしていて、終わったらすぐに帰ります。スタジオから車で5分のところに住んでいるので、ランチも家に帰って食べています。アメリカはプライベートと仕事のメリハリがはっきりしていて、みんなで飲みに行くことも少ないですね。もちろん忙しい時は残業もありますが、予算の都合上、短期間で制作してほしいというリクエストもよくあります。毎週土日は休みですが、僕は日曜日は別のスタジオで働いています。
Q:Fractured FX Inc.では正社員として働かれているのでしょうか。
吉沢:形式上フリーランスという形になっていますが、このスタジオではもう12年ぐらい働いています。この業種の方はみんな転々としているので、僕みたいに同じスタジオに長くいる人は少ないと思いますね。
映画やドラマが入っているときは忙しいですが、仕事がないときは給料も払われません。実際、脚本家組合や俳優組合のストライキがあったときは半年くらい仕事がありませんでした。そのときはテーマパークの仕事をしているスタジオで働くことができたので、何とか生き残ることができました。
『MaXXXine マキシーン』©2024 Starmaker Rights LLC. All Rights Reserved.
Q:吉沢さんは高校卒業後に渡米されたそうですが、どのような経緯で今の仕事に辿り着いたのでしょうか。
吉沢:映画の勉強がしたかったので、高校卒業後にカリフォルニアにある映画の短大に入学しました。ホラー映画みたいなものに携わりたいという漠然とした考えで留学したので、とりあえず最初は全部勉強してみようと。それで、監督・編集・脚本・照明など一通り手をつけた結果、一番やりたいことは特殊効果なのだと気づいた。他の友達はみんな映画の勉強をしていましたが、僕だけ外れて特殊メイクや特殊効果ばかりやっていました。それがきっかけですね。
Q:元々ホラー映画は好きだったのでしょうか。
吉沢:子供のときは怖くてなかなか観ることができませんでしたが、高校生くらいで一気に目覚めました(笑)。ただ、怖いというよりも「これはどうやって作られているんだろう?」という方に意識が向いていき、だんだん怖くなくなっていきましたね。
Q:影響を受けた映画を教えてください。
吉沢:『ゾンビ』(78)がすごく好きで高校生のときに何度も観ていました。ただグロいだけではなく、ストーリーに深みがあるところに惹かれましたね。その影響で、アメリカの映画学校でもゾンビをテーマにした映画を作っていました。日本映画でいうと三池崇史監督の『オーディション』(00)や『殺し屋1』(01)などが好きです。でもこの作品を知ったのは留学した後で、海外から来た他の留学生に勧められたのがきっかけです。逆輸入みたいな形でカルチャーショックを受けました。Jホラーは海外でも人気があるんだと実感しましたね。
Q:今後はどのような映画に携わりたいですか。
吉沢:今回のA24作品のように、グロテスクなホラーだけど美しさや芸術性があるような映画に携わりたいですね。そして、観る人があっと驚くような特殊メイクや特殊効果を手掛けていきたい。A24は前から仕事をしたかったので、今回ついに願いが叶いました。そういった感動にまた巡り合いたいですね。
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特殊造形アーティスト:吉沢コーダイ
長野県出身。2005年に映画制作を学ぶため渡米し、現在はロサンゼルスの特殊効果スタジオFractured FX Incのキー・アーティストとして活動。ジェームズ・ワン監督作『アクアマン』シリーズや『インシディアス(2〜5)』、『アナベル 死霊博物館』、ザック・スナイダー監督の『アーミー・オブ・ザ・デッド』などに参加。2015年にはHBOドラマ『ザ・ニック』でエミー賞・特殊メイク部門にノミネート。最近はアリアナ・グランデ主演のショートフィルム『Brighter Days Ahead』や『ザ・コンサルタント2』の特殊メイク制作も担当。造形ツールブランド「YK Tools」を展開し、日本での教育活動にも力を入れている。
Instagram:instagram.com/kodai_ykstudio/
X(旧Twitter):X.com/kodaiy61
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『MaXXXine マキシーン』
6月6日(金)TOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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