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『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』イ・オニ監督 過去の十数年を“今この瞬間”だと感じて欲しい【Director’s Interview Vol.495】

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』イ・オニ監督 過去の十数年を“今この瞬間”だと感じて欲しい【Director’s Interview Vol.495】

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他人の目を気にせず自由奔放に生きるジェヒと、秘密を抱え孤独に生きるフンス。正反対の二人が出会い、同居したことから始まる、「自分らしい生き方」を見つける物語。原作は世界三大文学賞「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」にノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説「大都会の愛し方」。ソウルでの十数年を魅力的に切り撮りつつ、本作で韓国映画に新しい風を吹き込んだイ・オニ監督に話を伺った。



『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』あらすじ

自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、穏やかで繊細なフンス。正反対の二人は、ある出来事をきっかけに特別な契約を結び、一緒に暮らし始めることに!ジェヒは奔放な恋愛を楽しみながら、世間のルールに縛られず、自分の価値観を大切にして自由に生きている。一方、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独と向き合う日々を送っている。二人はお互いの違いを認め合い、次第にかけがえのない存在となっていくー。しかし、ジェヒが人生の大きな転機に立たされ、フンスも初めて心を許した恋人との関係に悩む中で、二人の友情は予期せぬ形で試されることになる…。


Index


過去の十数年を“今この瞬間”だと感じて欲しい



Q:原作「大都会の愛し方」を映画化するに至った経緯を教えてください。


イ:映画を撮り始めて20年ほど経ったころ、青春映画に挑戦したいと漠然と考えていました。これまで培った経験を活かしつつ、本当に自分が好きな映画を撮りたいなと。そんなときに出会ったのがこの本でした。読んでみるととても面白く、ぜひ映画化したいと思いました。原作者のパク・サンヨンさんの文体が素晴らしいので、うまく映像化できるか最初は悩みましたが、テキストで楽しめる部分もあれば映像で楽しめる部分もあるはず。原作が持つ溌剌とした雰囲気やウィットの映像化に思い切ってチャレンジしてみました。


Q:ジェヒとフンスはそれぞれ生きづらさを抱えていますが、映画に悲壮感はなくポジティブな空気で彩られています。このトーンはどのようにして決めたのでしょうか。


イ:自分が20代だったころは失敗を恐れる気持ちが大きかった。何か大きな過ちを犯してしまうのではないか、そんな心配をしながら映画を作っていた気がします。ただこの歳になってくると、たとえ大きな失敗があったとしても、それは一つの通過点に過ぎないということがわかってきます。この映画で描かれる数々の出来事は、そのひとつだけで1本の映画ができるくらいに大きくて苦しいものかもしれません。ただ、それらを俯瞰して見ると、その出来事だけで人生が終わるわけではなく、人生はその後も続いていくもの。それを表現したくて、このトーンで描くことに決めました。



『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』ⓒ 2024 PLUS M ENTERTAINMENT AND SHOWBOX CORP. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:映画は十数年間を描きますが、どの時代もカラフルな色彩を纏っています。ビジュアル面のこだわりを教えてください。


イ:最もこだわった点は、これが“過去の出来事ではない”と思える描き方でした。映画では現在からいきなり13年前に遡って物語が始まりますが、昔のことではなく常に“今この瞬間”だと感じて欲しかった。登場人物たちと同じ時間を体験していくような、そんな気分になれる2時間。映画を観ながらジェヒやフンスと一緒に過ごし、彼らを友人のように思って欲しかったのです。





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