皆のレベルを上げた吉沢亮
Q:漫画の世界観を見事に実写化されていますが、難しさなどはありましたか。
浜崎:漫画には独特の面白さがあるので、それをそのまま実写化すると失敗するだろうなと。実際の人間の掛け合いは漫画っぽくは出来ませんから。漫画が原作としてありつつも、実写としても良いものを目指したい。とにかく脚本作りに時間をかけて、最終的には15〜16稿くらいまでいきました。途中で3時間くらいになったので、何とか2時間まで減らしました(笑)。脚本作業は大きかったと思います。
そもそも「笑い」って難しいし、笑いの映画というだけでハードルが上がる。吉沢さんとは、「こんなおバカな内容だけど、ちゃんと真面目にやって面白いものがいいよね」と最初に話しました。吉沢さんからも「その感じでいきましょう」と言っていただけたので、そこも良かったのかもしれません。本人たちは大真面目にやっていることが側から見ると面白い、そこは気をつけました。
構成がしっかりしていれば、お芝居だけでちゃんと笑えるはず。コメディって感覚的なところも大きいので、あまり論理的な説明はできないのですが、皆さん自分の役に合った“笑い”を意識されていました。皆さんとにかく上手いんです。特に今回は吉沢さんが座長として、皆のレベルを上げてくれました。吉沢さんって多くを語らず物静かなので、皆を引っ張っていくような感じではないのですが、吉沢さんが演じている姿を周りが見ることで、それが良い作用を生んでいたと思います。
『ババンババンバンバンパイア』©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022
Q:後半のアクションシーンもクオリティが高く、マーベルやDCなどのアメコミ映画を想像させる部分もありました。
浜崎:この映画のプロデューサーはマーベル好きです(笑)。僕はどちらかというとコーエン兄弟やトッド・フィリップスなどが好きで、『ハングオーバー』(09-13)からの『ジョーカー』(19)みたいな、根っこはコメディだけどシリアスなものも撮っている監督が好きです。そこの影響はあるかもしれません。でも今回は『 RRR』からヒントをもらったところが大きいかな。おバカなコメディに、歌モノ、アクションもあって、ややてんこ盛り感はありますが、これはこれで良いんじゃないかと。肩肘張らずに、老若男女が観て面白ければそれでいい。バンパイアというネタもありますし、そういう意味ではマーベルやDCに近い感じはありますね。予算とスケジュールは全然違いますけど(笑)。