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『ババンババンバンバンパイア』浜崎慎治監督 漫画原作の実写化、その成功要因とは【Director’s Interview Vol.502】

『ババンババンバンバンパイア』浜崎慎治監督 漫画原作の実写化、その成功要因とは【Director’s Interview Vol.502】

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全ての構図には意味がある



Q:映像のクオリティが高いので大作の印象もありました。「本能寺の変」が少しだけ出てきますが、そこのシーンひとつ取ってもクオリティがすごかったです。


浜崎:あのシーンは蘭丸と長可が信長を奪い合って恋敵になるという重要な場面で、信長を演じた堤さんにも頑張っていただきました。撮影ではセットを組んで実際に燃やしています。あとでCGの火も足していますが、けっこうな炎の中でやりました。撮影初日から2~3日目くらいまではその時代劇シーンだったので、「これって何の映画だっけ?」みたいな感じになってました(笑)。時代劇に歌モノ、学園モノにアクションと、毎日一体何を撮っているんだと(笑)。


でも原作自体にそういった色んな要素があるんです。奥嶋ひろまさ先生と僕は年代が近いこともあって、好きなものも似ている。お話しして意気投合した感じもあり、とてもやりやすかったです。奥嶋先生からは「映画は監督が自由にやってくれていいので」と言っていただき、観終わった後は「漫画より面白い!」「漫画より面白かったから、漫画を描きたくなりました!」と言っていただきました。もう、めちゃくちゃ嬉しかったですね。



『ババンババンバンバンパイア』©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022


Q:そういった色んな要素を、一切の隙がないルックで捉えていたことも印象的でした。


浜崎:今回は撮影の吉田明義さんとの出会いが大きかったです。吉田さんも普段はCMをやっているのですが、ご一緒するのは今回が初めて。吉田さんが撮影された「恋のツキ」(18 テレビ東京)というドラマがすごく良くて、撮影がめちゃくちゃ上手い。吉田さんと話すと、色んな映画の構図について全部解説してくれるんです。例えば『セブン』(95)のラストで、なぜケヴィン・スペイシーは固定で、ブラッド・ピットは手持ちで撮られているのか? それは二人の心情を表しているから…などなど。構図ってただカッコいいだけではなく、全てに意味がある。そういったことを吉田さんはしっかり理解している。日本のカメラマンにはあまりいないタイプですね。一緒に撮影するのも楽しかったし、すごく波長が合いました。吉田さんはカメラマンなのに、まるで演出助手かのように僕の右腕として動いてくれて、「自分は演出部です!」くらいの勢いでやってくれた。すごく頼りになりましたし、僕自身とても勉強になりました。



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監督:浜崎慎治

1976年生まれ、鳥取県出身。CMディレクターとして、KDDI au「三太郎」シリーズ、家庭教師のトライ「教えてトライさん」、花王「洗濯愛してる会」、丸紅「できないことは、みんなでやろう。」などを手掛け、ACCグランプリ、ACCベストディレクター賞、広告電通賞優秀賞、ギャラクシー賞CM部門大賞など受賞多数。最近では、短編映画「半透明なふたり」がショートショートフィルムフェスティバルのコンペティション部門にて東京都知事賞など受賞多数。長編映画作品は吉沢亮も出演した『一度死んでみた』(20)に続き2作目。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『ババンババンバンバンパイア』

7月4日(金)全国公開

配給:松竹

©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022


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