1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. ティム・バートンとヒーローたちの『エド・ウッド』的友情【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.9】
ティム・バートンとヒーローたちの『エド・ウッド』的友情【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.9】

ティム・バートンとヒーローたちの『エド・ウッド』的友情【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.9】

PAGES

Index


エド・ウッドとベラ・ルゴシ



 去る8月25日に60歳を迎えたばかりのティム・バートン。すぐに9月になり、あっという間に街はオレンジと黒のハロウィーンの飾り付けに様変わりする。つまりバートンの話をするにはうってつけの季節だ。 


 『エド・ウッド』は、“史上最低の映画監督”ことエド・ウッドが、B級作品『プラン9・フロム・アウタースペース』を完成させる経緯を描いている。実在の人物を題材にしたバートン作品では、のちに画家のマーガレット・キーンを題材とした『ビッグ・アイズ』がこれに続くことになり、どちらもそのときのバートンの新境地として見ることができる。

 

 1950年代、どういう自信からか第二のオーソン・ウェルズを夢見る新鋭監督エド・ウッドは、ある日『魔人ドラキュラ』のドラキュラ役で有名な俳優ベラ・ルゴシと出会う。


 ポマードで後ろに撫で付けた黒髪や黒い夜会服にマント、東欧訛りといった、今日ぼくたちがドラキュラや吸血鬼と聞いて、すぐに思い浮かべるアイコンを確立させたルゴシ(本当に棺桶に入るときまでその格好になるわけだが)は、フランケンシュタインの怪物を演じたボリス・カーロフと並んでひとつの時代を築いた伝説的な怪奇俳優だったが、ウッドと出会う頃にはすっかり落ちぶれ、美女の生き血ではなくモルヒネの中毒となっていた。


 それでもルゴシの大ファンだったウッドはすぐに自分の映画への出演を依頼し、『グレンとグレンダ』、『怪物の花嫁』でともに仕事をするが、さらなる新作に取り掛かろうとした矢先、ルゴシは心臓発作で亡くなってしまう。ウッドは生前のルゴシを映したわずかなフィルムを利用して、新作『プラン9・フロム・アウタースペース』に亡き親友を出演させようとする……。

 

 エド・ウッドと同じように、ティム・バートンもまた自分のアイドルたちを作品に起用している。もちろん彼らは晩年のベラ・ルゴシのように落ちぶれていたわけではなさそうだが、その友情は『エド・ウッド』でジョニー・デップとマーティン・ランドーが見せた、ちょっと狂気じみているがどこか温かい関係と重なるようだ。主な三人を紹介しましょう。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. ティム・バートンとヒーローたちの『エド・ウッド』的友情【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.9】