Index
バットマンの地味で邪悪な悪役スケアクロウ
去る9月15日は今年のバットマン・デイだった。今年の、というのは毎年日付が違うから。バットマン誕生を祝うため生誕75周年に当たる2014年から始まった記念日だが(誕生祝いなら日付を固定すればいいのにとも思うけれど)、今年はフリーコミックの配布やデジタルコンテンツのセールなどのキャンペーンが行われたようだ。今後もどんどん盛り上がって欲しい。特に来年はバットマン誕生80周年となる。
アニバーサリーで言えば今年はクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』公開から10年になる。すでに新しいバットマンが映画に登場している今でも、ノーランによる現実的で重厚な「ダークナイト三部作」は大きな存在感を放っている。2012年の『ダークナイト ライジング』でシリーズが終わっているにも関わらず、登場キャラクターたちがこのシリーズのバージョンで今も新作アクション・フィギュアとして登場するほどだ。
ノーランの三部作では『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じた悪役ジョーカーのインパクトが大きすぎるのだが、『バットマン ビギンズ』、『ダークナイト』、『ダークナイト ライジング』の三作全てに一貫して登場した悪役について紹介したい。邪悪な案山子男、スケアクロウである。
スケアクロウは本名をジョナサン・クレーンと言い、コミックでは学生を人体実験に恐怖症を研究していた狂気の心理学教授だった。大学を解雇された逆恨みから犯罪者となった彼は、恐怖症をもたらす特殊なガスを武器に、カカシの格好をしてバットマンと対峙する(バットマンの悪役はだいたいこんな感じのひとたちばかりだな……)。
映画の『バットマン ビギンズ』では、マフィアと手を組んだ精神科医に設定を変更、キリアン・マーフィーが怪演した。マフィア関係者が罪を問われるたびに、精神鑑定を利用して彼らを自分の務めるアーカム精神病院に収容して保護する一方で、病院の患者を実験体に幻覚剤を作っており、それをゴッサム・シティの下水道に流すなど、陰謀に加担する凶悪かつ重要な役だった。続編の『ダークナイト』、『ライジング』にも引き続き登場するが、『ビギンズ』がメインの出番となる。
そんなスケアクロウというキャラクター、実はアメリカにおけるハロウィーン定番の怪談から着想を得ている。いわゆる「スリーピー・ホロウの伝説」である。ジョナサン・クレーンという名前も、その主人公イカボッド・クレーンが由来なのだ。