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闇の騎士と首無し騎士を結ぶ スケアクロウの恐怖【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.10】

闇の騎士と首無し騎士を結ぶ スケアクロウの恐怖【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.10】


スリーピー・ホロウの伝説とスケアクロウ






 20世紀末にティム・バートンが監督した『スリーピー・ホロウ』は、アメリカに伝わる怪談を、抜群のヴィジュアルセンスで映画化した作品だ。ときは18世紀末、まだ科学よりも迷信が尊重された時代、いち早く科学捜査を実践していた変わり者の捜査官イカボッド・クレーン(ジョニー・デップ)は、「そんなに科学がすごいならこの事件を解決してみろ」と意地悪なニューヨーク市長(クリストファー・リー)から命じられ、亡霊がうろつき、首斬り殺人が起きたというスリーピー・ホロウ村に向かい、首なし騎士(ヘッドレス・ホースマン)と対決する……。


 原作はワシントン・アーヴィングの短篇集「スケッチ・ブック」に収録された「スリーピー・ホロウの伝説 故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より」という物語で、独立戦争で死んだドイツ人傭兵(あるいはヘッセン大公国から派遣されたへシアン傭兵)の亡霊が失った頭を探して彷徨うというアメリカの民間伝承を基に、アーヴィングがヨーロッパ旅行で聞いた、首のない妖精デュラハンの伝説などを組み入れることで完成させている。


 原作のイカボッド・クレーンは、村の名家の娘を巡って屈強な恋敵と争う色男の教師。娘の屋敷での宴会で恐ろしい怪談を聞かされた帰り道、さきほど話に聞いたばかりの首なし騎士に追いかけられた挙句、幽霊騎士の頭を投げつけられて倒れたイカボッド先生は、そのまま謎の失踪を遂げてしまう。翌朝現場を調べた村人たちは潰れたカボチャを見つけるが、その話を聞いた恋敵は笑いを必死にこらえるのだった、という怖くもありながら少々可笑しいお話だ。なんとなく落語っぽい。


 今ではバートンによる映画版が有名だが、1949年にディズニーが製作した『イカボードとトード氏』というアニメ版もあり、バートン版にも影響を与えている。ストーリーは原作に忠実で、アーヴィングの短編を綺麗にアニメ化している。「イッツ・ア・スモールワールド」のアーティストとしてお馴染みのメアリー・ブレアによる、首なし騎士のコンセプト・アートなども素晴らしい。


 アーヴィングはイカボッドの外見について、クレーンという名の通り鶴のような容姿とし、長身痩躯で手足が異様に長く、肩幅も狭く、小さな頭にくちばしのように長い鼻が突き出したそのシルエットはまさに鳥。さらに作者は畑から逃げ出してきたカカシのようだとも付け加える。カカシ。ジョナサンとイカボッド、ふたりのクレーンが繋がってくるようである。




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