向かって左から、ドワーフ:松本紀子氏、コマ撮りアニメーター:阿部靖子氏、Stranger:更谷伽奈子氏、ドワーフ:西山佳菜子氏
「dwarf × Stranger コマ撮り座談会」Strangerに行けばコマ撮りの人がいる!【CINEMORE ACADEMY Vol.45】
NHKの人気キャラクター『どーもくん』やオリジナル作品『こまねこ』、そしてNetflixシリーズ『ポケモンコンシェルジュ』『リラックマとカオルさん』など、数々のコマ撮りアニメを手がけてきたスタジオ「ドワーフ(https://dw-f.jp/)」と、東京・菊川にあるミニシアター「Stranger(https://stranger.jp/)」とが共同開催しているイベント「dwarf × Stranger コマ撮り座談会」。“コマ撮りアニメーション”について自由に意見・情報交換ができるコミュニティ作りを目標に、毎月第2金曜の夜に「コマ撮り」作品を上映後、ゲストも招いての座談会を開催している。
2024年の12月から開催を始め、すでに1年以上続けて来たこの座談会は、コマ撮り界隈にどんな影響をもたらしたのか。イベントを主催する、Strangerの更谷伽奈子氏とドワーフの松本紀子氏、西山佳菜子氏、そしてイベントゲストで登壇経験のあるコマ撮りアニメーターの阿部靖子氏の4人に話を伺った。
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Strangerに行けばコマ撮りの人がいる!
Q:どういった経緯でイベントを実施することになったのでしょうか。
更谷:2024年10月公開の『こまねこのかいがいりょこう』をStrangerで上映したのがきっかけです。上映に合わせてトークショーやサイン会などを開催していただき、最終的には2ヶ月半にわたるロングランとなりました。その繋がりもあって、ドワーフさんから「コマ撮りの世界をもっと知ってほしいので、何か一緒に出来ませんか」とオファーをいただき、「ぜひご協力させてください!何でもやります」とお受けしました。
劇場では、監督や制作会社、配給会社などと作品単位でやりとりすることはありますが、こういった目的が先行したイベントを企画することはあまりありません。だからすごくありがたかったです。最初に始めたのが2024年の12月だったので、気づけばもう1年が過ぎました。
松本:Strangerはカフェが併設されていて、上映後にみんなが集まって話をしている。それがとても素敵で大きな魅力でした。コマ撮り業界はみんな仲が良く緩やかにつながっているので、「ここに来ればいつもコマ撮りの人がいる」といったコミュニティの場ができないかなと。そんなときにStrangerで映画を上映して、その後みんなが集まって話しているのを見て、これを毎月やれるといいなと。それで試しに、『こまねこのクリスマス ~迷子になったプレゼント~』(09)を2024年の12月に上映したときに、関係者と観客が一緒に話す「座談会」をやってみたんです。これまでやってきたサイン会みたいなものではなく、映画の関係者が話をするだけ。それが始まりでした。これが定期的に開催されれば、「毎月第何曜日にここに来れば、コマ撮りの人が集っている」という場所になる。それで「イベントを定例でやらせていただけませんか」とお願いしたんです。

※座談会にて、参加者の皆さんと記念撮影。
Q:どのような方が参加されているのでしょうか。
松本:最初は普通に「映画を観たい人」が多かったです。意外だったのは、特にコマ撮りに興味がなかった人たちが、映画を観て「コマ撮りって面白いじゃん」とどんどん常連になってくれたこと。『こまねこ』が好きだった人が、川本喜八郎作品も観にきてくれるし、『JUNK HEAD』(17)も観にきてくれるようになりました。
大前提として、このイベントはドワーフ作品だけにはしたくなかった。ドワーフの西山と私が事務局となって、更谷さんとご一緒してやっていますが、これは決してドワーフの上映会ではない。とにかく早くドワーフではない作品をかけたかったので、第2回はTECARAT【https://tecarat.jp/】(コマ撮りスタジオ)特集にしました。だから「こまねこ、かわいい」と言って来てくれた人が、気づけば『JUNK HEAD』を観ている。そういう人たちが増えてきたのは嬉しい誤算でした。徐々に学生も増えてきて、コマ撮り業界に就職したい子たちには、「とりあえずStrangerに来て!」と言うようになりました(笑)。「Strangerに行くと、コマ撮り業界の誰かがいる」というのがすごくいいですね。
西山:学生の中には「スタジオに見学に行ってもいいですか」と積極的にアプローチしてくださる方もいて、実際にTECARATで働き始めた人もいます。今はコマ撮り業界も若手を育てていきたいので、こういったコミュニティから実際のお仕事に繋がるのは嬉しいですね。また、コマ撮りのことをあまり知らずに『こまねこ』を観に来てくださった方が市民ホールの職員さんで、つい先日、その市民ホールでワークショップを開催することが出来ました。来てくださった方々と新しい関係性が生まれていて、嬉しい限りです。