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『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

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構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい



Q:謎解きミステリーの要素も強いですが、120分という映画の時間に収めるために、全体の構成、配分はどのように決められたのでしょうか。


源:当時は『国宝』が上映されたばかりで「噂によると3時間もあるらしい」なんて話していたのですが、こっちは当初から「2時間を切ってほしい」と口酸っぱく言われていました(笑)。僕とプロデューサー陣で共有していた完成形のイメージは、かつて東映が最も得意としていた「痛快娯楽時代劇」。「時代劇の東映」を復権させたいという熱い思いのもと、東映京都撮影所で撮影を行い、全体の8~9割はセットを用いています。東映のマンパワーと伝統を十二分に発揮できる作品を目指しました。


Q:時間軸を巧みに操った構成に引き込まれますが、脚本や編集はどのようにされたのでしょうか。


源:編集はほぼ脚本通りです。僕は脚本と監督を兼任しているので、脚本を書く段階で常に編集の最終形を意識しています。だから、良い台詞を言わせようとか、驚かせるための伏線を執拗に張り続けることなどはせず、むしろシーンの切り替えや回想の入り方などを気にしながら、常に観客の目線で脚本を書いています。 



『木挽町のあだ討ち』Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社


Q:伏線回収が鮮やかに決まっていましたが、そこの優先順位が低かったのですね。


源:物語の構造を主体にするよりも、役者が芝居をして生まれる感情の流れや熱量、いわゆる“ウェットな部分”を大切にしたいと考えています。僕自身、そういった映画のほうが好きですから。


Q:確かに、菊之助と作兵衛のエピソードは胸が熱くなります。ミステリーとしての謎解き部分も面白いのですが、この2人の感情の揺れに心を持っていかれる部分がありました。


源:人足寄場で浮浪者のようになり果てた作兵衛に小綺麗な姿の菊之助がなりふり構わず抱きつくシーンや、2人が言い合うシーンは、彼らの感情を優先して書きました。実は菊之助が子供の頃の2人のエピソードも書いていて、それを描けば2人のそれまでの積み重ねが効いて、よりグッと来るのは分かっていましたが、それをやると2時間を超えてしまう(笑)。それでも、その辺のニュアンスを醸し出せる役者が揃っていた。役者の力に助けられた部分は大きかったです。


僕にとってキャスティングは非常に重要。プロットができた段階で、「この役はこの人がいい」と自分の中で決めていて、プロデューサーとキャスティングの進捗を共有しながら脚本を書いています。「クランクインの前に勝敗の8割は決している」とプロデューサーによく言うのですが、良い脚本と良い役者が揃っていれば、僕らスタッフが大きなミスをしない限り良い作品になるんです。




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