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『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

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東映らしい時代劇



Q:菊之助の母・たえ役の沢口靖子さんの存在感も作品を引き締めていて、長尾謙杜さんとは本当の母子のように見えました。


源:そこは色んな人からよく言われますね。沢口さんのような実力ある女優さんにご出演いただけて本当によかったです。たえは金治の元許嫁ですが、原作にはない裏設定として、江戸の旗本の長女で芝居好きだったということにしました。そういう設定があったからこそ、金治と久しぶりに会う茶室のシーンでは、2人の芝居だけで彼らの若い頃の関係性が仄見えてくる。そこは実力のある役者さんだからこそです。


茶室に金治が入ってきた時、たえは武家の女らしく折り目正しく頭を下げます。しかし金治は、侍からドロップアウトした自身の恥ずかしい事情も知られている照れくささから、最初は正対せずに斜めに座るんです。そして真面目な話になってから初めて向かい合う。その座り方の変化だけで、芝居の質が変わってくる。これは私が指示したわけではなく、謙さんがキャラクターの心情を考えて提案してくれた芝居でした。



『木挽町のあだ討ち』Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社


Q:文化・文政時代の江戸がとても華やかに描かれます。江戸の鮮やかな色彩と美濃国遠山藩とのコントラストも見事でした。スタジオ撮影やロケ撮影で意識されたことはありますか。


源:個人的には日本建築の陰影を活かしたトーンが好きなのですが、今回は60〜70年代の東映時代劇へのオマージュとして、パッとした明るさを持たせることを意識しました。松竹、大映など、それぞれの映画会社が持つテイストがあるんです。謙さんからも「東映っぽい時代劇になった」と言っていただけました。


今回のカメラマンである朝倉義人君をはじめ、東映生え抜きのスタッフたちとは何度も仕事をしてきた関係性があるので、今では言葉でイメージを伝えるだけで認識共有ができる。撮影・照明・美術のすべてが狙い通りに仕上がりました。




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監督/脚本:源孝志

主な劇場公開作品に、映画『東京タワー』『大停電の夜に』(05)がある。ドラマ「遺恨あり~明治十三年最後の仇討ち~」(10/EX)で放送文化基金賞本賞、「京都人の密かな愉しみ」(15/NHK BS)でATP賞グランプリ、「忠臣蔵狂騒曲 No.5中村仲蔵 出世階段」(21/NHK)で文化庁芸術祭ドラマ部門最優秀賞、2024年には「グレースの履歴」(NHK BS)で第42回向田邦子賞を受賞。主な著作に『私だけのアイリス』(河出書房新社)などがある。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『木挽町のあだ討ち』

2月27日(金)全国公開

配給:東映

Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社

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