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『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

『木挽町のあだ討ち』源孝志監督 構造よりも感情の流れや熱量を大切にしたい【Director’s Interview Vol.540】

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直木賞と山本周五郎賞をW受賞したミステリー時代小説『木挽町のあだ討ち』が東映にて映画化。文化・文政の華やかな江戸を舞台に、まるで刑事コロンボのような飄々とした1人の侍が、ある仇討ちの顛末に徐々に迫っていく──。映画化にあたっては、柄本佑、渡辺謙、長尾謙杜、北村一輝、瀬戸康史、滝藤賢一、高橋和也、正名僕蔵、山口馬木也、そして沢口靖子と、オールスターキャストが集結。謎解きミステリーの構造を取りながらも、感情の機微を描いた人間ドラマに思わず胸が熱くなる。


高い評価を得た原作とオールスターキャストを見事にまとめあげたのは、「スローな武士にしてくれ~京都 撮影所ラプソディー~」「令和元年版 怪談牡丹燈籠 Beauty&Fear」など、東映京都撮影所で撮影された画期的な時代劇ドラマで数々の賞に輝いてきた源孝志監督。本作の脚本も手がけた源監督は、いかにして『木挽町のあだ討ち』を映画化したのか。話を伺った。



『木挽町のあだ討ち』あらすじ

文化七年(1810)一月十六日、江戸・木挽町。歌舞伎の芝居小屋「森田座」では『仮名手本忠臣蔵』が大入満員で千穐楽を迎えていた。その舞台がはねた直後、森田座のすぐそばで、仇討ちが起きる。芝居の客たちが立会人と化し見守るなか、美濃遠山藩士・伊納菊之助(長尾謙杜)が、父・清左衛門(山口馬木也)を殺害し逃亡していた男、作兵衛(北村一輝)の首を見事、討ちとったのである。雪の舞う夜、若き美男子が成し遂げたこの事件は「木挽町の仇討ち」として江戸の語り草となった。それから一年半後、同じ遠山藩で、菊之助の縁者を名乗る加瀬総一郎(柄本佑)が「仇討ちの顛末を知りたい」と森田座を訪れる。総一郎にとってこの仇討ちは、腑に落ちぬ点がいくつかあり、それを解明したいのだという。菊之助に関わった人々から事件の経緯を聞くうち、徐々にある事実が明らかになっていく……。


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相手の懐に入り込むキャラクター



Q:柄本佑さん演じた加瀬総一郎は、原作では一言も喋らないキャラクターだそうですね。大胆に翻案されていますが、脚本はどのように作られたのでしょうか。


源:一言も喋らない男を、物語を動かしていく役回りに変更するにあたり、ただのインタビュアーではなく、腑に落ちない点を探り出す探偵のようなキャラクターにしようと。それが最初のアイデアでした。


Q:コロンボや金田一耕助、ポアロまで、ミステリーを解き明かす人物は飄々としたキャラクターが多い印象があります。加瀬総一郎もその系譜に連なる人物に思えました。


源:無邪気で人懐っこく見えて、実は細心な一面を持つ男の方が格好いいなと。そして実は剣もそこそこ使える。彼が森田座の面々の懐に入り込む際、鋭く切り込むのではなく、まるで山椒魚のように「ぬるっと」入り込んでいく感じを出したかった。そうすることで、いつの間にか相手に余分なことまで喋らせてしまうんです。



『木挽町のあだ討ち』Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 Ⓒ2023 永井紗耶子/新潮社


Q:ミステリーという設定上、説明台詞が多くなるのは避けられなかったかと思いますが、本作は不思議とそれを感じさせません。あのキャラクターだからこそハマるのかなという気もしました。


源:サスペンスドラマによくある、最後に崖の上に全員集合して謎解きをするようなステレオタイプなシーンは少なからず必要でした(笑)。謙さん(渡辺謙)演じる立作者・金治の部屋をその舞台に設定したわけですが、セリフで過剰に説明せずともちょっとしたニュアンスで伝わるのは、役者の皆さんのおかげですね。皆さん、ご自身の役回りをしっかり理解して演じてくれました。




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